ディバインゲート
□夜をともに。
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『今すぐ早急に走って俺のもとへ来い』
と彼は連絡してきた。
時刻は深夜2時、絶賛夢を見ていた真っ最中で御座います。
半目のまま、のろのろと(走ってこいと言われたのに)彼の元へと歩いていった。
『…ねむ』
途中で柱に激突。
額をぶつけ、じんじん痛む場所をおさえながら歩く。
──────
彼の部屋の前に着くと、待っていましたといわんばかりに扉が開く。
彼は名無しさんを見下げたまま、小さく低く呟く。
『遅い』
『…………ねむくて』
『お前は俺を置いたまま御気楽に夢の中か?大層良い夢を見ていたらしいな、名無しさん』
『…ケーキ食べてた夢』
彼が怒っているような気がしたのだが、凄まじい眠気により思考が上手くまわらず、目を擦る。
『そうか、現実でも夢でも食って忙しい奴だな。まあいい、とりあえず入れ』
と、彼は名無しさんの手首を引いて部屋の中へ入る。
ベッドの前に着くと、彼は其処に寝転がる。
そして、隣を開けてポンポンとたたく。
『寝転べ』
『……はい』
いつもなら全力で拒否するのだが、かなり眠い為大人しく従う。
ゆっくり寝転がると、彼は名無しさんの髪にそっと触れた。
『…濡れている』
『かわかすの、めんどくさくて』
『あとで痛んで泣くのはお前だぞ、それにシグルズの奴のことだ、なんで乾かさなかったのって五月蝿いだろうな』
『1日くらい、平気』
指先で弄り、くるくると指に巻きつけたり。
彼は表情を変えないまま、いじり続けている。
『こんなに長かったか?』
『? 伸ばしてるの』
『…』
ちっ、と舌打ち。
小さく、聞こえないくらいの音で。
『(なんで気づかなかった)』
と、口の中でつぶやく。
『ああ、呼び出して悪かった』
『ううん、多分平気』
『多分?はっきりしない奴だな?』
『平気』
『…』
彼は少しだけ眉間にシワを寄せた。
そのあと、ぐいっと自分の胸板に押し付けるように抱きしめた。
『っ、っ、くるし…』
『もう寝ろ』
『あなたが呼び出したのに…』
『来たのはお前だろ、別に無視してくれてもよかったのに。約束通り来るということは優しい奴だな、案外』
ふ、と小さく笑う。
勿論、見えないように。
『む…ていうか、鍛えてるんだね』
『お前も鍛えるか』
『え』
『冗談だ、だからもう寝ろ。ヘズ達に聞こえるぞ』
髪を指でとかしながら言う。
それに大人しく従って、
『…おやすみなさい』
『ああ、おやすみ、名無しさん。いい夢を』
と、彼は少しだけ力を強め抱き締める。
そして、目を閉じた。
───おわり───
スルトくんぜんぜんキャラがわかりません!
完全に私の想像スルトくんです…