ディバインゲート

□目覚めのキス
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首に違和感を感じた。
妙な感覚に思わず(凄くいい夢を見ていたのに)起きてしまって目を覚ました。

『随分長い睡眠だな』

と、状況から察するに名無しさんに馬乗りになっているであろうランスロットが、にこりと微笑みながら言う。

おかしいな、鍵かけたはずなのにな。
なんて思いながら、何故自分がこのような状態になっているのだろう?と自問する。

『オマエ、部屋の鍵開けたまま寝るなんてバカだよな。ここには他に若くて童t…いやなんでもない、とにかく危なっかしいな?』

口元に笑みを浮かべて彼は言った。

『あ、あの』

『ん?』

『退いてほしいな』

『なんでだよ』

こっちがなんでだよ、と言いたい名無しさん。
大人を力で退かせられるわけないし、かと言って退いてと言えば、はいわかりました。と退くような男で無い事も知っていた。

『なあ名無しさん』

『え?』

『目覚めのキスでもしようか』

こいつはなにを言い出すんだ。
思わず口を開けたまま、彼を見つめた。
そんな名無しさんを見た彼はフッとまるで馬鹿にしたかのように笑い、名無しさんの頬に手をそえた。

『なあ、聞こえなかった?』

『いや聞こえたけどね?キスはその、好きな人とするものでしょ?だから…ほら、ラモラックちゃんとか』

『だから好きなヤツとしようとしてるんだよ、どんだけ鈍感なの、オマエ』

それだけ言うと、彼は名無しさんの唇に自分の唇を重ねた。

押し付けるように口づけをされ、卑猥な水音が耳に届いた。
思わず足を閉じ、ふるえる体を無理に止めようとすると彼はそれを察したのか、更に何度も唇を重ねてきた。

『ら、らん、す…』

か細い声を聞き取った彼は唇を静かに離すと、軽く舌なめずりをした。

『ん?』

『ば、ばか…』

『オレのキスは今までオマエが体験してきた中で一番気持ちよかっただろ?』

なんて言ってくる。
顔が赤くなるのを感じて、思わず手のひらで顔を覆う。

『なんだよ、もう照れたのか?』

『ばか、ばか、色魔、たらし…』

『酷い言われようだな、それだけ照れてるって事は相当気持ち──』

そこで彼の言葉が止まる。
顔に名無しさんのクッションが直撃。
ぽとり、と床に落ちるクッション。

『痛くないな』

『も、もう、もう口聞いてあげないんだから…』

『今日の朝飯はオマエの好きなメニュー一色だけど』

『えっ!?』

『……』

口を聞かないと言ってからこれだ。
しまったぁ、と思わず頭を抱える。 
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