ディバインゲート
□キミを愛する権利
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何処にでも突然現れて消える道化師のような男は、自らをロキと名乗った。
他の誰かには見えていなくて、名無しさんだけがそのロキの姿を見ることが出来た。
霊感のある人が見える幽霊、みたいな類のものだった。
彼は出会った時に必ずこう口にする。
『また会えたね、これは運命かな』
と。時々それに付け足して、これは偶然なのか必然なのかと、長々と話し続ける時もあった。
正直、へんなものには関わりたくなかった。
他人が見えないものが、自分だけに見えてしまうから。
厄介だし迷惑だから。
と、考えながら道の真ん中を下を向きながら歩いていると何かにぶつかる。
ふわり、と香るなにかの香り。
見覚えのある服装。
『また会えたね』
と聞き覚えのある声と、台詞。
『…あ』
名無しさんがぶつかったのは、ロキだった。