偽りの姫君

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24:いの あとで

リ ト の 村















リーバル広場の上空に 神々しい聖なる光の雫が 一光、また一光と 降り注ぐ。

散らばっていた 光の雫が集結し 形を形成したその場に現れたのは 紛れもなく、聖戦を終えた リンクとライアの2人であった。



「…よう、お帰り」



待ち侘びていた、と言わんばかりに 白き羽根を組み 胡坐を掻いていたテバは 立ち上がる。

テバの背後で ズラリ、と並ぶ リトの村の面々…。

姿を現した2人へと 向き直った。



「無事、メドーを 鎮めてくれたみてぇだな。

村の頂上に鎮座した あの姿が何よりの証拠…。


 まずは 一族を代表して 礼を言う。

この通り…此度は 色々と 世話になった。 感謝しても しきれねぇ…。

ありがとう



テバが 広場の床板へ 膝を着き、胸板の前に 腕を構える。

一同もそれに習い、一斉に腕を構えると リンクとライアへ向けて 尊敬の眼差しを 向けた。



「そんな…俺達は ただ、テバさんの 手伝いをしただけで…。

テバさんが 居なかったら この戦いに勝つことは 出来ませんでした。」

『そうよ、リンクの言う通り…。どうか、皆さま お顔を上げて 下さい』



テバ達 リト族の者は、誰一人として 頭を上げようとする者は 居ない。

その姿を見た リンクとライアは 互いに顔を見合わせ、先程まで居た リトの上空を 見上げた。



―…



村 頂上…。

すなわち、止まり木の岩に 着地したメドーは 嘴の先より 赤き光の光線を ハイラル城へと 向けている。

リーバルが述べていた通り、リンク達が 厄災と戦う際の援護体制が どうやら整ったらしい。

そんなメドーの 頭上で、リーバルの魂は 遠く、ハイラル城を 見つめていた。



"ようし メドー…狙いを定めたね"



ハイラル城の 背後に聳え立つ 双子山の峯から 勝利を祝うかのような 煌々と輝く朝日が 顔を 覗かせる。

陽が当たった大地からは 冷え込みで濡れた夜露が 暖められ、蒸気となって 天へと立ち上っていく。

その様は まるでこの世のものとは 思えない程に 風光明媚な光景であった。



"ここから ガノンを捉え続けて…あいつらが 戦う時 奴に強烈な一撃を 食らわせるんだ。

…その日まで 頑張ってくれよ…。

ま 僕とお前は 100年もこの時を 待ってたんだ…。

後少しくらい どうって事 ないだろ…?"



リーバルは 厄災に呑まれた 100年後のハイラルを 見下ろす。

眼下に存在する 己の生まれ故郷、リトの村。

いつも 飛び立っていた 懐かしい広場から どこか、視線を感じる気がする。


 自身を見上げるかの如く 上空へと 顔を向けている リンクとライア…。

その2人に向けて 頭を下げる リトの村の面々…。

己が居なくなってからも こうして 時代は移ろい、また 新しい時代が 巡ってくる。

何年経っても 色褪せないのは この広大な 自然の雄大さ…。

自分が生きた この世界を、今度こそ 護り あの者達…、次の世代へ 繋いでいきたい…。

願わくば、生きて 自分の手で そうしたかった…。


リーバルは ふっ、と 笑みを 一つ 漏らす。



"…そろそろ 認めるしかないみたいだな…

あいつは 飛べもしない癖に この神獣にやって来て 僕には 出来なかった事を やり遂げた。

悔しいけど…完敗だ

リンク…君こそ僕らの要だ"



広場の中で佇んでいるリンクが ゆっくりと…。

頷いているような 気がした。





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