偽りの姫君

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急登を登った先にある シモ・イトセの祠を巡礼・攻略し終えたリンク達は 岩場の裾元を辿り ダルニア湖にある 北の廃坑を訪れた。

燃え盛る溶岩の湖は 高温の飛沫を上げ乍ら 訪れたリンクとライアを 出迎えてくれる。

激しい大地の歓迎に 2人は息を呑むと、各々 武器を手に取った。



「…ライア、見えているか」

『…もちろん。』



岩場で出来た足場…。

下方からの圧力により 岩に開いた無数の穴から 風が巻き起こされている。

足場の先を視線で辿って行くと 一番奥にある 聳え立つ巨大な岩場の元に 敵が多く集結している様子が 伺えた。



『…あの一番奥の岩場、敵が見張るようにして居る所を見ると…何かが あそこに あるわね。』

「ああ、組長が言ってた 保管庫が あそこにある、と見て間違いないだろう。

それに、帰って来ていない、と言うことは ユン坊が 捕らえられている 可能性もある…。

…ここに落ちれば、一溜りもない。足下に気を付けて 移動しよう」

『分かったわ』

「…あれは…」

『ブルドーさんの 仰ってた 大砲ね』



北の廃坑を訪れて すぐ目前にある 巨大な大砲に近付くと、その形状を観察し始めるライア。

リンクもライアに習って 観察をしていると 妙な形をしていることに 気が付く。



「…ここ、何か 入れられるように なってるな…」

『…ほんとね…、見たところ弾は どこにも 見当たらないし…。

…っ、!

そうだわ!大砲の弾薬になるような物、リンクは持っているんじゃない?』

「弾薬になるような…、あっ、そうか、これだ!」



ライアの意図に 気付いたリンクは、腰元から シーカーストーンを取り出し 起動させる。

画面上に表示された アイテム、【丸型のリモコン爆弾】を セレクトすると 手元に蒼き光が灯り 爆弾が現れた。



「これで 大砲の弾薬は 確保できるとして…動かし方は…」

『このレバーを動かせば 操作できるんじゃない…?』



リンクがレバーに手を掛けてみるも そのレバーは ピクリとも 動きそうにない。



「…これ、一筋縄では いかねぇぞ」



リンクは そう述べると、額に流れ出た 汗を拭う。

そして、再び 周囲を見渡すと "何か"を探し始めた。



『…どうしたの?』

「ん?、いや…確か、さっき この辺りに…。」



大砲の側にある 岩陰を覗くリンク。

身体を屈ませ "何か"を手に取ると、両腕で 持ち上げた。



「あった!、これなら大丈夫だろ」

『…鉄のハンマー…?何故、こんなところに…』

「…廃坑、ってぐらいだから 昔、使ってたのかも しれないな。」



リンクは 大砲の砲台へと 戻ってくると、ライアを安全な場所へ 誘導した後 勢い良く 鉄のハンマーを 振り翳す。

 腕の遠心力によって キレイな弧を描くように 導かれたハンマーは、レバーの持ち手に 見事 命中した。

鈍い金属音が響くと共に 足下が揺らぐと、砲台が回転を始める。

どうやら 幾度か叩くことにより、砲台の方角を 変えることが 出来るようだ。



「これでリモコンバクダンを セットして…」



リンクは 砲台から降りてくると、ライアの前に立ちはだかり リモコンバクダンを 起動させた。



ドンッ



曲線を描いて 一直線に、蒼き光の雫を纏ったバクダンが 敵の見張り櫓の元へ 飛んでいく。

灼熱の炎と黒煙が 天へ向けて 巻き上がると、敵の櫓は 木っ端微塵に 吹き飛ばされた。



『…凄い 威力ね』

「ああ…。この調子で 奥の保管庫まで 進もう」



大砲の使用方法のコツを掴んだ リンクは、続く岩場の足場でも 同様に、敵の櫓を破壊していく。

時に 巻き上がる上昇気流を利用して 岩場の上へ上がり、ライアと知恵を出し合いながら 順調に岩場を 攻略していった。





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