偽りの姫君

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コモロ池から 湿原の馬宿 裏手にある カヤ・ミワの祠へ ワープした2人は 預けていた 相棒達と 再会を果たし、馬宿で一宿一飯の恩を受けると 明朝と共に 街道沿いを 南下して行く。

道中 平原南東にある リバーサイド馬宿 へ 立ち寄り、ワゴ・カタの祠を。

平原南西にある 平原外れの馬宿 裏手にある ルヨ・タウの祠を 攻略し終えたリンクとライアは しばしの休息を取るため 馬宿の軒下で 朝の肌寒さを和らげる為に 薪に当たっていた。





15:明の主





「これから まず、リト族の村へ 向かおうと思うんだけど どう思う?」



リンクが 薪を挟んで向かいに居るライアへと問い掛ける。



『そうね…。

詳細な地図を持っていない手前、大きくハイラルの大地を 周回して回るのが 得策かも知れないわね。』

「…道中、シーカータワーも起動していければ 詳細な地図も 手に入るだろうし…」

『…うん、それが良いかも。』

「決まり、だな。」



ライアもリンクに応えるように 一つ、首を縦に振る。

休息も程々に 支度を整え 旅立とうとした リンクとライアの視界に ふと、馬宿の正面にある大木に向かい 何やらブツブツと呟いている 女性が 目に入ってきた。



「…あの…こんにちは…」



リンクは 木に話し掛けている その女性を不思議に思い、背後から声を掛ける。

ライアもアンヴァルの引き革を引きながら その様子を見守った。



「やっと…来たわね。」

「……へ?」

「この樹の下で 勇者様に会えるってウワサ、本当だったんだわ!」



喜びを露にする 女を見て、リンクはタジタジとなる。

驚愕しながら 両手を左右に振り、答えた。



「…人違いです。」

「…ウソ!?…って、言われてみれば…」



女はリンクの背後に背負っている剣を 入念にチェックするかのように、覗き込んだ。



「勇者様は 伝説の剣を持ってるって 聞いてたし…。

やっぱり、人違いね。

旅の途中で 伝説の剣を持つという勇者様に出会ったら、私はここで待ってるって 伝えてね」

『…伝説の剣…』



リンクの後ろで 様子を伺っていたライアは、女の言葉に 反応を示す。

そんなライアと同時に リンクも女のその言葉に 反応すると、木の根元で 座り込んだ女に 再度話し掛けた。



「なあ、その伝説の剣のこと、教えてくれないか」



女は 快く頷くと 語り始める。



「…う〜ん…私が知っているのは、どこかの森に眠っていて 勇者様にしか抜けないってことぐらいね。」

「…どこかの森、か…」

『…もう少し、詳細な場所とかは 分からないかしら…?』

「う〜ん…私が興味あるのは 剣じゃなくて 勇者様だから、それ以上のことは 知らないわ。

…あ〜、早く会いたいなあ〜…うふ」



女の頬を染める仕草を見ていた ライアは、少し不機嫌そうな 表情を浮かべる。

そんなライアを 横目で見ていたリンクは、首を傾げながらも 話をしてくれた その女へ 礼を述べた。



「…そうか、ありがとう。助かったよ」

「どういたしまして。勇者様に会ったら 必ず、伝えてね!」

「…ああ。伝えるよ」



先に歩みを進め始めた ライアの後を追うように、リンクもエポナへと 騎乗した。





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