光の守護者

□story,04 山の黄昏
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story,04 山の黄昏



(あった!泉だ!)



リンクは、カカリコ村を入って ほどなくしてある 泉を発見する。

ソラは、リンクに続き 泉へと足を踏み入れる。



[...おかしいわね。
ラトアーヌさまとフィローネさまの時は、トワイライトに呑まれていなかったのに。
オルディンさまは、一体何処へ...]



ソラの言う通り、泉はトワイライトに呑まれ 精霊の姿はない。

辺りを見渡す3人に 何処からともなく 声が聴こえてくる。



「選ばれし勇者、リンク。
そして光の巫女、ソラよ。

私は、トワイライトに呑まれてしまいました。

私の力で光を導きたいのであれば、この"光の器"に"光の雫"を 集めて下さい。」



すると、天から"光の器"と呼ばれる物が リンクの元へと 降ってくる。

リンクは、光の器を口でくわえる。



(...どうやって、光の雫を集めれば良いんだ?)


「"蟲"に、化けて トワイライトをさ迷っている 青い光。

その"影の蟲"を倒せば、自ずと光の器に 雫が集まります。

貴方のもつ"センス"で、蟲を探して下さい」



そう告げると、声は 聞こえなくなる。



(...集めねえと、人には 戻れねえってか。)



リンクは、シャラン と垂れる光の器をぶら下げ、ミドナとソラを 見る。



「ラトアーヌやフィローネの所は、トワイライトに呑まれる前だったからな。」



ミドナは、ソラの側から いつもの定位置である リンクの頭上へと 舞い戻る。

ミドナの言うフィローネとは フィローネの森にある、精霊の泉に住む 精霊のこと。

ラトアーヌとは違い、オナガザルのような姿をした 精霊だ。

森の神殿へ向かった後 ハイラル平原の西へ行くよう諭した。

ラトアーヌの居るトアルの泉と フィローネの居る 森の泉には、トワイライトは 進出していなかった。



[精霊をも トワイライトに呑み込むほど、この地方の トワイライトは深さを増している...と 言うことかしら。
...!?]



ソラは リンクを深緑色の瞳で見つめる。

そして、何かに気づいたのか 泉の先にある教会へと 視線を向けた。



[...勇者さま、光の雫を集めて 人間に戻れば、教会に居る魂を 救えるかも知れないわ。]


(ッ!?子供たちか!?)



リンクは、一目散に教会へと 掛けて行く。



(怖いよ、レナードさん...!)

(大丈夫だよ、きっとリンクが 助けに来てくれる。)

(おい、コリン!リンクだって襲われたんだぞ!
...次こそ、おれが 魔物から皆を 守ってやる!)

(...そんな木刀で?)



教会の地下へと 忍び込んだリンク達は、魂のまま 怯える子供たちと カカリコ村の住人であろう 牧師達を発見する。



(皆!無事だったか!
おい、俺だよ。リンクだ!)


「無駄だ、リンク。忘れたのか?
トワイライトでは、お前の声は 届かない。
ましてや その狼の姿を見られたら...
ククッ、一目散に逃げられるだろうに。」



ミドナは、リンクをからかうように リンクをなだめる。



(...くそッ。まだ救えないのか...ッ
何で...俺は、無力なんだ...)



リンクは、前足で地面を蹴り飛ばす。
そんな、リンクを嘲笑うかのように 砂埃が宙を舞う。

かならず助ける、と誓い 探し求めた子供たち。

目の前に居るのに、救えない。

遠い村から助けたいと願って 冒険をしてきた。
森を超え 遠くの見知らぬ村へとやってきたリンク。

そんな矛盾から、ただ1人勇者として選ばれた孤独から、苛立ちを隠しきれない。



[...無力なんかじゃないわ、勇者さま。
貴方を待つ、あの子たちの瞳。
子供たちの心配を無駄にしては、駄目よ。]



ソラは 一歩一歩リンクに歩み寄り、頭を リンクに擦りつける。

まるで、リンクを慰めるかのように...。



[元気を出して、勇者さま。
いま、貴方のやるべきことを 思い出すの。

すぐには、助けられないかも知れない。
でも、貴方は 1人じゃないわ。

アタシが居る。
アタシが貴方を助けるわ。]



リンクは、ソラの行動に 驚きを隠せない。

今まで頑なに リンクから距離を保ってきたのに...。



(...ありがとう、ソラ。
元気出た...。

早く、光を取り戻さないとな)



リンクは、後ろ髪を引かれる思いで 教会を後にした。
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