ふわりゆらりと逃避行
□むっつ
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『あら?桃タロー君食べないの?』
「うん。美味しいよ?」
「あんたらの辛い物好きには付き合いきれません」
現在進行形で梢と白澤は坦々麺+麻婆豆腐(辛味5倍)を食べている。流石の桃タローもついていけないだろう
「というか梢様、辛い物好きなんですね…」
『そだよ。口に痛みが伴う料理って、面白くない?』
「そんなドMみたいな感覚問われても…梢様は辛い物苦手みたいなイメージありました」
『ドMじゃないよ
辛い物は好き。女の子が「辛いの苦手〜」とかって言ってるくせに寿司屋に行くとわさび入りバクバク食べるから不思議』
「そこ触れちゃいけないとこです!!」
「辛いのが好きでも嫌いでも僕は女の子ならウェルカム」
「あんたは黙ってろ!!」
この師弟コンビの漫才のような会話に梢も思わず微笑む。その微笑みにちょっとだけ見入った師弟である。
「梢様が微笑むと、やっぱり神々しいですね」
「そうかな?白澤君も神様なんだから笑ったら神々しいと思うけど」
「いえ、白澤様は鬼灯さんを遠距離攻撃する時にしか微笑みません(馬鹿にする時)」
「そんなことないよ!?」
『あー、そうだった。鬼灯と白澤君、仲悪いんだったね。神様なら神様らしく仲良くしなくちゃ』
「そこは置いといて下さいよ…はいわかりましたから敬語使わないから!
…梢ちゃんだって、礼服しばらく着てないじゃん」
「礼服?」
礼服とは、基本的には正装する場などで着ていく服だが、神の場合は違う。人の前に現れるときに着る服である。例としては、鳳凰や麒麟、白澤の黄帝に捕まった時の服などが入る(彼らは基本獣の姿をして現れるので礼服の意味はあまりないが)。
「梢ちゃんも、今は桃色の着物着てるけど、礼服は白いんだよー。
そりゃもう綺麗」
「へぇ…見たいっすね、それ」
『もう何年も着てないよ。
最後は日中親善運動会?だっけ?
その前は…』
思い出せない。それどころか、頭が、痛い。
梢は一瞬、目眩をおこした
「梢ちゃん!?大丈夫?」
「うん…大丈夫。
ねえ白澤君、私、礼服着たのってあといつだっけ?」
「え、うん…覚えてないな…」
『そっか。ごめん。辛い物食べ過ぎたのかな。吐きそ…ウプッ』
「わあァァァァァァ梢様しっかりして下さいトイレへ!早く!!」
『あ、やばいもう無』
「「ぎゃァァァァァァァァァァ!!!!」」
このあと、三人揃って鬼灯に説教されたのは言うまでもない