ふわりゆらりと逃避行
□よっつ
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「なんだその者は」
「御父上には関係のないことです」
「まさか…そのものは、蛭子か?」
『!!』
だが、数日後、不信に思ったのかイザナギは海岸を覗きにきた。そして、私に気付いてしまった。
その結果
「忌み子め。もう目の前に現れるな。」
私は、封印された
「蛭子!!蛭子!!」
『あまちゃん。私はこの数日、楽しかった。ありがとう』
「そんな!!
御父上!なんてことを!!」
『いいから。あまちゃん。
もう、さよなら』
こうして、私は…何年だろう。
ずっと封印されてた。しょうがないね。捨てた子が自分の娘に近づいているんだから。
でもある日、突然封印が解けたんだ。
何故だろうね?そこらへんの記憶はすっぽり抜けてるんだ。
多分、そこらへんで、梢、っていう名前をつけてもらえたんだと思う。そして現世でふよふよしてて、気が付いたら地獄で資料管理なんかやってた。
そして今に至るんだ。
『はい、こんな感じ。前は嘘ついてごめんね。』
ここは資料室。先日来た唐瓜君、茄子君に私の生まれた経緯を説明しているところです。資料返しに来たところを捕まえて。
「え、なんか…すいません…」
『あ、あやまんなくてもいいよー
鬼灯に嘘つくくらいならちゃんと言えって言われたからねー』
どう?引いた?
なんて問いかけてみた。
すると、真っ先に返事したのは茄子君で
「ぜーんぜん!
むしろ、梢様のこともっと好きになりました!!」
『ふぇ?』
「だって、それだけの過去隠すの当たり前だと思うけど、梢様は正直に話してくれたし、
それに、そんなことされてもまだイザナミ様達のこと好きでいられてるんだから、やっぱり神様は心広いなーって」
「俺も…過去にそんなことあっても、しょうがないで済ませられることが凄いというか…それに、なんか今の話聞いて、梢様は心が綺麗というか…って、梢様?」
『…え?』
手に落ちる、冷たいもの。
水?違うこれは
涙だ
『ど…して、止まらない…
え?また呪い?』
ボフッ
急に抱きついてきた茄子君。
と言っても、彼は小鬼なので私のお腹くらいまでしかないのだが。
「そーゆーときはね、泣けばいいんですよ!うちのかーちゃん言ってました!ほら、唐瓜も!」
「え!?
あ、おう…」
唐瓜君も抱きついた。
私の涙は更に流れてきて
『ごめん二人共。
今だけ、こうさせて』
立ち膝になって、彼らを力一杯抱きしめる。
彼らはいいよ!といってそのままにしてくれた
これだけ泣いたのは何時ぶりだろうか。
五千年前、なにかの拍子で泣いたときぶりだろうか。