ふわりゆらりと逃避行
□ひとつ
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『そだよー
私神さまー』
「マジですか」
神様…もとい梢は、レモンティーを人数分運んできた後、寝っ転がっていた。普通に寝っ転がっている訳ではない。
体は宙に浮いている。神様と信じざるを得ない
「寝っ転がりながら食べない!!」
『あっ!私のケーキィィィィィ!
返せぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
「図書室で大声出さないで下さい!
周りのお客様に迷惑です!」
『ここ図書室じゃねーし!私の部屋だし!』
「あれ?ここ資料室…」
もはや喧嘩のレベルが小学生である。
神様と鬼神の喧嘩がこんなのでいいのか
「貴女は毎日毎日ダラダラして…外国だったら確実に七つの大罪の怠惰に相当していますよ。というか怠惰の化身になってたはず」
『いいもーん。私日本生まれだもーん』
「あ、そういやぁ、
梢様って何の神様?なんですか?梢なんて神様聞いたことないし…」
「おい茄子、失礼だぞ」
『あー…
なんて言ったらいいのかな…
私、名前ないよ』
「…はい?」
『名無しのごんべ痛いっ!』
「ちゃんと説明して下さい。唐瓜さんフリーズしてるじゃないですか」
『説明めんどくさい』
「浮きながら_(:3」∠)_みたいな格好しないで下さい。ほら、説明っっ!!」
『しょうがないなー…どっこらせっとくら』
そう言って梢は地面につき、立ち上がる。掛け声はジジイみたいだったが、そこはあえて突っ込まない二人である。
『私ねー、ホントはあまちゃ…天照大御神と双子だったんだよー』
「えぇっ!?
マジですか!?」
『マジマジ。で、双子って縁起悪いらしくてさ、私名前つけられる前に伊邪那岐命に封印されたんだよー。だから名前ないのー。
あ、あまちゃ…天照大御神とは一卵性じゃないからね。あの子の方が断然可愛いからね』
「わかりきったことじゃないですか」
『え、泣く』
じゃあ
梢という名前はなんなのか
そう聞こうとした唐瓜だったが
ゴーン…ゴーン…
『あ、もうちょいで昼休み終わるね』
「本当ですね。貴方も働くんですよ」
『へーい…あ、そだ。
ちょっとまってね…』
そう言うと梢は本棚をゴソゴソし始めたと思うと
『はい』
「え、これ…」
『絵巻とか、資料とか
しばらく貸してあげるから、終わったら返しにおいで』
そう言うと彼女は茄子に絵巻や資料本をどっさり預けた
「ああ見えても、あの方は凄い方なんですよ」
「まあ雰囲気でなんとなく伝わってきますが…」
「鬼灯様、なんか梢様に対して厳しくないですか?」
「矯正しがいのある人を見ると燃えるんですよ」
「「(あ、この人だめなタイプの人だ)」」