ふわりゆらりと逃避行
□ひとつ
2ページ/3ページ
ここは記録課
鬼灯達はそこから更に奥に進んだ廊下を進んでいた
「一度裁判が終わった亡者の記録は、この奥で管理しています。しかし、そこで管理している方がほんっっ……とにめんどくさい人で…
彼女は関わるとめんどくさいんです」
「鬼灯様がそこまで言うんですか…」
「その人って、どんな人なんですかー?もしかして、妖怪?」
「会えば分かり…チッ」
何を勘づいたのか、もう着くというところで彼は舌打ちをした。そして目の前にある扉を蹴って壊し、中にズカズカと入っていく。新卒たちは一体なにが起こったのかわからなかったが、慌てて鬼灯についていく
「おい起きろニート」
『ふぁ…?
あ、ほーずきだー…おはよ…』
「もう昼ですよ梢さん」
『え、嘘
んー…寝過ごした…』
鬼灯が話しているのは、
青緑の色の目に、鶸色の髪を横に一つまとめにした女性だった。誰の目から見ても、間違いなく美人と言われる姿。更に、神々しい雰囲気までする。何故このような女性にこんな態度を取るのか。彼らは不思議でならない
『ん?あの子達は?
見ない顔…新卒?』
「はい。
あ、唐瓜さん、茄子さん、紹介します。こちら記録課資料保管をしてらっしゃる、梢さんです」
『へー、唐瓜君と茄子君かー。
梢です。
私の事は好きに呼んでくれて構わないよ』
「よ、よろしくお願いします…」
「よろしくお願いしまーす!!」
ニコニコする女性。笑った顔もかなりの美人である。新卒達の謎はますます深まる
「茄子さんが資料を見たいそうで。彼は絵を描いているんです。そのネタ探しらしくて」
『へー!そうなんだ!ここにある資料は好きに読んでいいよ。唐瓜君も見る?』
「い、いえ。俺はただの付き添いなんで。」
「梢さーん!
嫉妬とか…そういう感じの資料ないですか?」
『んとねー…
百三十七番の巻物の、五回目の人生からのお話が面白いよ。五年前だから古いかもしれないけど。あと、最近は…千五百九十番の本の最新の…334ページ目からが面白いかな?結構エグいけど』
彼らは絶句する。この膨大な、それこそ全亡者の資料から、茄子がリクエストした内容の資料を厳選した。
梢は『お茶入れてくる』と言って行ってしまった。鬼灯がそこらへんにあった椅子にドカッと座る
「彼女はここの資料の内容なら全て分かりますよ。結構読んでますし」
「だからってページ数までわかるもんなんですか?」
「いえ…彼女は具生神の統率もしてくれてるんですよ。帰ってきた具生神は記録が終わったあと、彼女の元へ行き、その人間の記録をキレイさっぱり彼女に渡すんです。そしてから次の人間の元へ行くんですよ」
「だから全てわかるんですか
でもあの人、具生神じゃないですよね?妖怪でも無さそうですし」
「あぁ、いい忘れてました
梢さんは…
神様です」
「…はいィィィィィィィィィィ!?」