その娘、怪奇につき2
□雑談閻魔は仕事しろ
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「ワシが生きていた時代も、怪談が流行ったなぁ…」
『あなた最初の亡者でしょう。動物の幽霊でも出たんですか』
「それは出ないけど…
でも、暗闇とか、何かが怖かったんだよね…」
「人間は得体の知れない物を怖がりますからね」
『私は鬼灯と机に並べられている三個のジョッキが怖いです』
いつの間にか三つに増えていたジョッキ。怪しすぎるだろ。身近なホラーである。
「現世の怪談は、後輩と話す、現世に行ったとき化けて出た話と大体同じなので…あまり肝は冷えません」
『それは私も同じです。後輩はとんでもないことをやってのけますからね』
「みんな現世で何してるの!?
…というか、君たちそういう話するんだね。そういう付き合いはあまりしないと思ってたよ」
『「大王以外とはします」』
「なんでぇぇぇぇ!?
君たちワシの腹心だよね?イジメだよこれ!」
「大王はお孫さんの話がうるさいんですよ」
「えぇ…そんなにしてるかなぁ…?」
『死ぬほどしてます』
この前なんて、簡易地獄行きの亡者をお孫さんのせいで阿鼻地獄行きになりそうだった。もうあんなことはやめて欲しい
「悪い悪い。もうしないよぉ。
でもさぁ…やっぱり可愛くてさぁ〜」
「孫溺愛中の「もうしない」は「一生のお願い」と同じくらい信用できない」
『私的には「明日から本気出す」も信用できません。ラルもおんなじ事言うんで』
「結構具体的に言うね…」
「ふむ…少し早いですが、これ、飲んでみて下さい」
「これ、ビールジョッキだよね…てことは…!」
「お酒ではありませんよ。
就業中にちょっと一杯、なんて許されるわけ無いでしょう。恥を知れ」
『もしそんなことをするならば、私が大王のチャーシューをお作りいたします。』
ただでさえグータラな大王がお酒を就業中に飲むなど結果は見えている。やめてくれ仕事が増える。
「じゃあこれって…?」
「大王の体調を考慮した飲み物です」
『(絶対嘘だ!!!!)』
鬼灯が?大王のために?嘘に決まっている。ほんとになった試しがない。
最初に青汁もどきから飲むことに。
ねぇ、鬼灯はなんで傘さしてんの?まあ私もさすけど。
「ブッッホォォォぉぉぉ!!!」
うわっ、吐き出しやがった。
汚ねっ。
鬼灯が言うには、松の種や葉から抽出した原液で、血液をサラサラにするらしい。なぜ血液を改善しに行った。大王は喉が痛いんだぞ。
「これ…すっごい苦いよ!?」
『うわっ、ほんとだ苦っ』
「だから!
なんで瑠璃ちゃんは試すの!?
馬鹿でしょグハァォッ」
『馬鹿言った奴誰だ』
はーい。次に二本目ー。
なんかピンクの液体。美味しそうだけど怪しいでござる。
「大丈夫かなぁ…
っ!
これ、めちゃくちゃ美味しいねぇ!」
『え、どれどれ…って、鬼灯?』
鬼灯が珍しく私が試し飲みするのを止めた。彼が止めたということは…あ、
『鬼灯、あれリリスから貰った副作用有りのパーティージュースですよね?』
「そうですよ。飲んだ者に一定時間、ランダムの副作用が起こります」
「それって毒じゃ…うわっ!?」
大王のありとあらゆる毛が伸びた。いいじゃないか原始人ぽいぞ。
「どうせすぐ戻りますよ。
では、みっつめをどうぞ」