その娘、怪奇につき2
□喧嘩しやがった
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ラルside
「我回来了(ただいま)…」
「おかえり」
白澤が今日は珍しく朝帰りだった。自分は丁度その時起きていた。
「…ラルさ」
「ん?」
「…何にも、言わないんだね」
「何が?
…だいたい、女遊びなんて白澤はいつも」
「ラルは、
ラルは、僕が女の娘と遊んでも、何とも思わないんだね」
バリンッ
準備しようと思っていた皿が割れる。
いや、正確には割った、か。
「!?ちょ、ラル、血」
パシンッ
「触んな」
伸ばされた白澤の手を払う。
欠片が刺さって血がでたようだが、気にしない。
「人の気も知らないで、なんなの?
暇さえあれば女の娘と遊んで…自分と桃タロー君に営業任せて…
てかさ、桃タロー君来たら、もう自分要らないよね?家事とか全部やってくれるし、それで成り立つんじゃない?」
声は荒らげないけど
ふつふつと、マグマのように、止まらない。
「自分に手出してないのも、男みたいだから?ただ家事する道具だから?
人との血が混ざった下等な神獣だから?本当に何も思わないって思ってるの?」
「ラル」
白澤の声が変わった。
低く、真剣な声
「本当に、僕がそう思ってると思うの?」
「自分を他の女の娘と区別するのは、そうだからでしょ?まあそれの方がありがたいけど。」
「ラル、お前」
その声をもう聞きたくなくて
「さよなら」
他の女の娘が言うのと同じように、
別れを告げた。
『よし、白澤殺す』
「なんの解決にもなんないじゃないですか」
話し終わった後に二人が言った第一声がこれである。いや、心配してくれるのは嬉しい。けど、これ多分白澤悪くないんだよね。
「これさ、ただ自分が逆ギレして自爆しただけの話だと思うし…けどあれ以上あそこいたら自分が壊れちゃうと思うし…地獄住もうかなって」
『えー…
私の個人的な見解になるけど、そもそも店ほったらかしにして女遊びする時点でまずアレだし。そして何も言わずに色々してくれた人にその言葉は無いと思う。
てか、ラル地獄住むってなったら八寒行かなきゃいけなくなるでしょ。雪うさぎみたいなもんなんだし。』
まあ瑠璃の意見もごもっとも…だと思う。でも、止めない自分も悪い訳で。
「でも、それを止めないラルさんもどうかと思いますよ。それは相手に自分に興味を持っていないと解釈されてもしょうがありませんし」
『ちょ、鬼灯!』
「いいよ瑠璃。鬼灯が正しい。」
鬼灯は客観的に見てくれる。瑠璃は自分をよく見てくれていて、自分の気持ちもくんでくれる。この二人は改めていい幼馴染だと思う。
「白豚もまあ悪いと思いますが。
ラルさんも、相手が本当に"好き"なら、もう少し考えて行動すべきでは?」
…ん?
好き?え?あの白豚を?
え?自分が?
『あ、ラル顔赤い』
「なんで…分かったの?」
『「わからない方がおかしい」』
嘘だろ。
一応隠していたつもりなんだけど。
自分でもそうなのかなって思ったのつい最近なのに
「皆凄いね」
『ある意味お前が一番凄いよ』