その娘、怪奇につき2
□野干はかわいい(確信)
2ページ/2ページ
「いらっしゃいませー」
『え、普通にイケメンじゃん』
「…チッ」
『いひゃいいひゃい!鬼灯ひャめて!』
「姿は変えられるから問題ねーのよ。
問題はキャラと接客」
あ、そうか。
狐って変化できるんだっけね。自由に変化できるんでしょ?いいなー。
「こちら鬼灯さんと瑠璃さん。
ほれ、いつものように挨拶せい」
「オジヤです!」
「トルティーヤです!」
「ホヤです!」
あまりの衝撃に階段から落ちた。
なんだその名前。
「とりあえず顔中心に殴っていいですか」
『客をバカにしてるのか。還れ』
鬼灯が金棒をぶん投げた。いや、当たり前だろうが。
馬鹿にされた訳でもないのにここまで腹が立つのはなぜだ。
「まず◯◯ヤって名前ならホストっぽいというのは大間違いでしょう」
『なんだオジヤって。なめとんのか』
「とりあえず金棒はやめとくれ!
こいつら今はやりのS系で売ってんじゃけど、ちっとも人気出んのよ。
だからあんたに見てやって欲しいわけ」
「私Sではないのでお役に立てるかどうか…」
『いい?檎。
こういう無自覚のSが一番恐ろしいんだよ。はいひとつ覚えて』
「なるほど」
とりあえず、接客してもらえることになった。
「気持ち悪い…
まだ瑠璃に接客してもらったほうがいい…」
『お前といえどもぶん殴るぞ』
「トルティーヤです、ここ座っても?」
「どうぞ」
恥じらいはないのかトルティーヤよ。
改名しろこいつら。そして私にはオジヤがついた。
「お前見てるといじめたくなるな!
おい、とりあえず俺指名しろよ!」
プチッ
『消えろ』
「ちょ、檎さん助けごはァァッ!」
「瑠璃さん、だめか?」
『全員まとめて死ねばいいと思う。』
こいつらホスト向いてねぇ。
もうドン引きだった。だいたい、なんだいじめたくなるって。理性のメーター吹っ切れるところだったわ。
「俺ってさー、Sなんだよね!
誰かいじめてないと落ち着かないんだ!」
うわっ、トルティーヤもキモイ。
鬼灯に口に氷突っ込まれてるよ。
『手本みせてあげれば?』
「私Sじゃないですって。
だいたい、自分でSと公言するのはおかしいと思いますし、本当のSはSという前に相手をチリにしてるでしょう」
『いやそれただのヤバイ人』
「まぁ要するにあれだ!
お前らにSは無理だ!」
数分後、色々話してその結論に至った。おそいよ檎
「流行りといえば現代のニーズに合わせてもっと良い方法があると思うんですが…」
「お!?
何かあるのか教えてくれ!」
「いえ、単純な話…」
数日後、ホストクラブは狐カフェに生まれ変わった。もうビフォーアフターだね。なんということでしょう。
『あ!甘味忘れてた!』
「…(モグモグ」
『…ねぇ鬼灯?それ甘味屋の団子じゃない?ねぇ?』
「…あ、ご馳走様です」
ここにろくでなしのクソ野郎がいます。