番外編
□地獄天国のPR事情 その二
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『あ”ー…イライラする』
「まあまあ…ほら、職員みんな怖がってるわよ」
鬼灯がテレビにでてからというもの、イライラが止まりません。挙句の果てにはお香さんになだめられる始末です。だれか助けて。
「まあまあ…
鬼灯様の企画も1ヶ月だけなんだし…」
『そうですよね…
早くこの地獄中の浮ついた雰囲気(主に女)をなんとかしたいです』
鬼灯はかっこいい。
それは認めよう。だが、それのせいで企画が始まった途端鬼灯目当ての女鬼が結構入ってきて、おまけに休憩中にはそいつらが押しかけてくる始末。仕事しろ仕事。
「え?
鬼灯様がチヤホヤされて嫉妬してる訳じゃないの?」
『はぁ?』
「ヒロインが(゚Д゚)みたいな顔するんじゃないの!ヤクザじゃないんだから!」
なぜ嫉妬しなければならない。
いや、確かに最近鬼灯とまともに話せてないから少し寂しいが
『嫉妬とかはまず無いと思いますよ。というか嫉妬とかしてももう少しで終わるんで別に大丈…』
「あ、瑠璃ちゃん」
『なんですかヒゲダルマ』
「え、なんか怒ってるの瑠璃ちゃん!?
あの、鬼灯君と白澤君のことなんだけど、思った以上に反響あって、あれあと1ヶ月続け…え?瑠璃ちゃん!?」
『はは…あははははは…』
「瑠璃!戻って来なさい!」
無理…この地獄…いや、すでにいる場所が地獄なんだけど、これが続くのは…
「只今戻りました」
『あ、鬼灯おか…』
ギュッ
一瞬何があったかわからなかった。
うん。多分さ、後ろから鬼灯に抱き締められているんだ。うん。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんで!?
え?なんで!?頭爆発しそう!
『…何やってるの?』
「後ろから抱き締めているんですが」
『いや、わかるけどさ
意味を述べよ』
「最近瑠璃不足で…
まともに話せていないでしょう?
物足りなくなったので」
…それはこっちもだ。
とりあえず、首にまわされた腕の袖をキュッとつかむ。
「…あなたは、何をしているんですか?」
『充電中』
「私なんかでエネルギーになるなら」
そのとき、閻魔庁の扉がバーンと開いた。
「鬼灯様が帰って来たと聞いて来まし」
『「あ"?」』
間髪入れずに私と鬼灯の心の声が漏れる。そういや今昼休み中だったな。押しかけてきた女獄卒達はそそくさと帰っていった。
『女の子にあんなことしちゃダメでしょ』
「あなたもでしょうが。
充電中に邪魔はされたくなかったもので」
「ねえお香ちゃん、あの子たちわしらがここいるの忘れてない?」
「いいじゃないですか。
せっかくの"充電中"なんですし」
この時のお香さんは上機嫌だったそうな。