番外編

□極楽満月の1日
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午後2時





「…という訳なんですよ…」





『それは…うん。私もそれは耐えきれないかな。けど桃太郎は普通にかっこいいから別に大丈夫だと思うけど』





「どの口が言うか!
ケンカ売ってるんですか!」






鬼灯様と瑠璃様が薬を取りに来ました。無自覚美男美女ですよこいつら。なんなんですかこれ俺に対してのイジメですか。ちなみに白澤様は薬の調合が間に合わなかったので泣く泣く調合中です。自業自得だザマミロ。





「瑠璃ちゃん助けてー!」




『調合してなかった白澤が悪い。今日納期なんだからしっかりやっときなさい。』




そう言って白澤様の頭をコツんとこづく瑠璃様。あ、やべ。隣の鬼から不機嫌オーラめっちゃ出てる。





「お前のせいで待つハメになってんだから早くつくれノロマ。あれか?豚なんですか?太り過ぎて動きまで鈍くなったんですか?」





「テメーは黙ってまつっつーことが出来ねーのか!」





「白澤…口より手…」





ラルさんの一言で白澤様は静まりました。素晴らしい。




















午後七時




「あれ?ラルは?」




「ラルさんなら自分専用の庭行きましたよ。うさぎと戯れているか収穫でもしてるんじゃないでしょうか」




ラルさんにはうさぎ…と言うか、動物全般が沢山寄ってくる。聞けばラルさんも神獣のハーフと言うし…。俺はすごい人に囲まれすぎではないだろうか。なんて思いながら夕食の準備をする。
準備が出来て食べ始めた頃にラルさんも戻ってきた。





「ふー。謝謝桃タロー君。」




「あれ?今日は出掛けられないんですか?」





「うん。今日はちょっとお勉強♪」





珍しいこともあるもんだ。
白澤様が女遊びせずに勉強なんて、明日は雨かな。




「一応漢方の権威だからね。研究会近いから頑張ってるんだよ。いつも頑張ってない分。」




「あれ、でもラルさんも薬を司る神獣とか言ってませんでしたっけ?」





「自分はまだ未熟だからね。神獣の中では全然生きてない方だよ。だいたい幼稚園児くらいかな?」





ラルさんが幼稚園児とか。神獣ってどんだけ長生きなんだ。白澤様はあれか。ジジイか。白亜紀らへんからいるとか言ってたぞあの人。そこら辺の星と同い年か。











午前0時




薬学の勉強も終わり、そろそろ寝ようとしたとき、白澤様の部屋から出てきたラルさんを見かけた。





「ラルさん?」




「あ、桃太郎君。」





シーっと人差し指を口元に立ててイタズラに彼女は笑い、その場を去った。今の動作はやばいと思う。完全に男も女もやられる奴だった。それより、何事かと白澤様の部屋を覗いてみると





「……わ」






すやすやと机に突っ伏して眠る白澤様。その様子から本当に勉強していたんだと伺える。その背中には毛布が掛かっており、近くにはグレープフルーツジュースとチョコレートを使ったお菓子。どちらも疲労回復に効くと言われていると勉強した。




「──おやすみなさい、白澤様」





自分の部屋に戻ると、白澤様の部屋にあったのと同じ夜食が部屋に置いてあった。そしてそれにはメッセージが付いていた。





─お疲れ様。明日も頑張ろ─





…白澤様は、ラルさんのこうゆうところに惚れたんですかね。本人はバレないように必死ですけど、何ヶ月も一緒に住んでいれば好きなのバレバレなんですよ。そこはラルさんも一緒ですけどね。
恋に奥手過ぎる上司二人のことを頭に思い浮かべながら、今日は布団に入った。






今日も極楽満月は営業中です。




 
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