怪奇な娘と一人のみなしご
□そのさん
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中に入れてもらい、話を聞いた。
どうやらこの人が瑠璃がお世話になっているお師匠様らしい。
言葉遣いが神に仕えるものとはとても思えなかったが
「お前が丁か。話は聞いてるぞ。瑠璃が世話になってるな」
「いえ、こちらこそ」
そういって頭を下げる。瑠璃と少し似ている雰囲気でにひひと笑う。この人達、親子みたいですね。
『お昼できたよー』
「わざわざありがとうごさいます」
『気にしないで。ただの趣味だし 』
「瑠璃ー。わし煮物がいい。」
『今日はおはぎだよ。喉に詰まらせて死ね』
実際、彼女の料理は美味しかった。ずぼらそうな性格なのに丁寧に作ったのが伝わってくる。こんど是非とも習いたい位です
「瑠璃ねぇさま。おきゃくさまがおみえですよ。」
『うそ。丁、お客さん来たからしばらく待って貰っていい?』
「いいですよ。お気になさらずに」
四歳くらいの少女が顔を出したと思うと、瑠璃は行ってしまった。
「お客さん、ですか。」
「あぁ。あいつ神を口寄せ出来るからなあ」
「口寄せ?」
「あぁ。神様呼び出してその声を聞けるんだとよ。普通に巫女は出来るとあいつは思っているが、あいつやばいほど才能あるからな。」
口寄せ、なんだか前に見たあの得体のしれない雰囲気の理由がわかった気がした。
「見てみるか?」
お師匠さんに言われ、長い廊下の後をついて行く。ある部屋の前で止まると、少し扉を開けて
「ほら、覗いてみな」
と、言われた。神聖な儀式を覗いてしまっていいのだろうか。と思いながらも覗いてみる。
《我が名はオモイカネ。知恵を司る神である》
瑠璃であって、瑠璃でない声。思わず身震いした。客人と思われる女は自分ではどう仕様もない、知恵を貸して欲しいと悩みを打ち明ける。瑠璃は淡々とその解決法を述べる。自分はここにいてよいのかと感じ取る程だった。
『ふぅ。おまたせ』
「…今日、瑠璃のことを初めての見直しました」
『地味にぐさっとくるぞ今の言葉』
戻ってきた瑠璃はいつもの瑠璃で、少し安心した