その娘、怪奇につき2
□夜ふかしはね、やっぱりダメだ
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「貴女馬鹿ですか。いや昔から馬鹿でしたね。後先考えず行動して後始末のことを全く考えない」
『すいません…』
「反省してるんですか!いつもいつもいつもいつも!」
『してたら今布団に寝てな痛いっ!』
「自覚してるなら直しなさい!」
はい。お母さん…ゲフンゲフン鬼灯に説教受け中です。なぜこうなったかと言うと、
―朝―
『おはよう…』
「瑠璃ちゃん!?クマがやばいよ大丈夫!?」
『大丈夫。まだ六徹目です。』
「大丈夫じゃない!鬼灯君にも手伝って貰いな!」
『あー…大丈夫です…終わりましたか、ら』
「瑠璃ちゃん!?」
という訳でぶっ倒れました。いやね?私は悪くないよ?書類を大量に溜め込んで泣きついてきた獄卒達が悪い。しかも五人連続で来た。お前らタイミングでも測ったのかこの野郎。とりあえず、全員フルボッコにした後、書類処理をやってたら六徹して、今布団に寝ながら鬼灯から説教を受けていると。
『お母さん仕事行ってきて大丈夫だよ』
「遂に頭もやられてきたんですか。あ、元からですね。」
『病人に気を使うということが出来ないのかお前は』
前にも言ったが、補佐官が揃っていないとなると法廷も全然進まないのである。そうすると書類も自動的に溜まっていくから私の明日の仕事量のためにも法廷に行って欲しい。
「いいですか?ちょくちょく様子を見に来ますが、もし暇つぶしに仕事しようとか筋トレしようとかやってる場合は今よりもっとひどい状態にしますからね。明日布団から出れなくしてやる。」
『死刑宣告じゃん』
「とりあえず心配なんでしっかり寝てください。」
そう言って鬼灯は部屋から出ていった。
…寝ろ、と言われてもなぁ…
この時間…てか多分夜にならないと寝れない。補佐官になってからというもの、生活リズムがすっかり定着してしまったため、どんなに疲れていても夜しか寝れないのだ。さて、どうしようか…
「やっほー!瑠璃ちゃん好久不见〜!」
『なんでお前が来た』
結局、極楽満月から安眠の薬やらなんやらを貰うことにしました。しかしなぜ白澤が来た。私ラルに来てって頼んだんだけど。
「ラルはねえ、今調合中の薬とかがあって今は手が離せないから僕が代わりに来たんだ。ついでに瑠璃ちゃんの様子も見ておこうと思ってね」
そう言って額に手を付けられた。今は何も言わないでおく。こういう時の白澤は女タラシじゃなくて真面目に薬剤師だから心配はしなくて大丈夫だしね。
「熱はないね。やっぱり寝不足と疲労かな。薬出しとくよ。あとご飯少しは食べて。薬膳作ってきたから 」
『わざわざごめん』
「いーよいーよ。
あとさ、首…みして?」
一瞬体が固まった。
白澤には黄泉に来てから定期的に首の傷を見てもらっている。この首の傷は私が殺されるときに出来たものらしく、体中傷つけられた筈なのに何故かここしか残ってなかった。鬼としての治癒力を考えるに、私自身のよっぽど強い思いが残っているからだと言われた。
つまり消えづらい。
とりあえず首の包帯を取った。
「…やっぱり、記憶が戻ったからって塞がったりはしないね。」
『いいよ別に。しょうがないもんなんでしょ?特に気にしてないし』
「よくない!瑠璃ちゃんだって女の子でしょ!?瑠璃ちゃん綺麗なんだから、こんな傷つけてたら勿体無いよ」
そう歯が浮くようなセリフをポロッと言ってのける白澤。そう。これが原因なのだ。こいつはこの理由で定期的にに検診を続けている。あと、私は鬼は鬼でも牛鬼なので他の鬼と体が違うから定期的に見ておきたいから、らしい。
『はぁ…私は別に大丈夫だって。綺麗でもないし』
「んー。やっぱり瑠璃ちゃんは落ちないね。普通の女の子はコロっと行っちゃうのに」
『最低だな糞豚。それに、そういうセリフはラルにでも言ってあげてよ』
「…はぁ〜、ラルになんて、言えるわけないでしょ…」
『このチキンが!他の女には手出す癖に本命の女には手出さないで!アホじゃないか!』
「そんなことしたらラルに嫌われる!」
色欲魔の癖に本命にはビビリ。最低の男である。偶蹄類、いや、愚低類である。万年発情期のウサギのくせに。
「瑠璃ちゃん全部言葉に出てるよ?」
『じゃあそのまま受け取れ。』
個人的には一刻も早くくっついて欲しい。でないといつまで経ってもこっちが歯がゆいし、なにより幸せになってもらいたいのに。
『はぁ…ラルといつまでこのままのつもりなの?』
「…さあね。」
『このヘタレ』
「ヘタレでもいいもん!とりあえず僕はかえ「瑠璃?ちゃんと休んでますか?」」
白澤が血を吐いた。そういや胃潰瘍とか言ってたっけ。はい。鬼灯が来ました。絶対私も後で一緒に怒られるパターンだこれ。
「…白澤さん」
「なんだよ」
「三秒間待ってやる。今すぐ桃源郷帰れ」
「ちょっとまってそれ軽く死刑宣ゴホォ!」
おいまだ二秒もたってないのに攻撃したぞこいつ