ハルボネビアの舞い
□第十夜
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『──んで、私がなんだって?』
今は霧の…団だっけ?そこのアジトに連れてこられた。んでもって監禁されてる。最近で2回目だよこれ。
「最近噂を聞くと思ったら…この国に来てたのか」
『何言ってんのかわかんないよ焼き○ばパンマン』
「霧体内に突っ込んで殺してやろうかクソアマ」
『やれるもんならやってみろゴラァ』
「とりあえずお前ら落ち着け!」
金髪の少年が間に入って止めた。
彼はこの焼きそば…ゲフンゲフンカシムと同じくここの頭領をしている奴で、アリババというらしい。
この子…なんで盗賊なんかしてるんだろう。ルフを見るに悪い感じはしないけど…
「はぁ…
とりあえず、確認だけさせろ。
赤い髪に、超人的な力、まるでファナリスのようで、蒼い大鎌を操る女が居ると昔噂を聞いた。」
『…』
「噂を聞かなくなったと思ったら…ついこの前の戦争でまたひょっこり顔を出したときた」
『…何が言いたい』
『"戦場のハルボネビア"は、
お前だろ?』
ガッ
その名前を言われた瞬間、思わずカシムに飛びかかった。しかし、鎖で手足を繋がれているため、届かない。
「その様子だと本当のようだな」
『黙れ…
その名前はもう…捨てたんだ…』
目から自然と溢れ出す涙。
彼らは少し驚いた目をして、カシムが口を開いた。
「俺たちは今、この国を変えようとしている。だが、まだそれには力が足りない。
俺達に、力を貸してくれないか?」
『…』
しばらく黙っていると、「返事はまだでいい」と言い残し、二人は出ていった。
部屋に残されたのは私だけ。
牢獄のような部屋で、窓からの月明かりが見える。
このアジトでの情報をまずは集めなければ。でなければ協力しようがない。その後、ジャーファルさんのとこにも行こう。
トントンッ
結構長いこと考えていたのか、
月は結構上まで来ていた。そこで、誰かにドアをノックされた。
「…入っても、いいか?」
『ああ…えーと、アリババ君?
どうぞ。監禁されてる身だしね。』
入ってきたのは、アリババ君1人だった。
『なんですか?頭領殿』
「あんた…名前なんて言うんだ?
そして、なんだ、"戦場のハルボネビア"って」
疑問を抱く顔。
彼は、きっと葛藤しているのだろう。彼なりの何かと。それは、幼い頃の自分と重なった。
『蓮玉っていいます。
呼び流して結構。
"戦場のハルボネビア"はねぇ…
ハルボネビアって知ってる?』
「はい…じゃなくて…。たしか、赤くて…冷たい所に生息する花、だったよな」
『正解。
見たとおり、私は氷の金属器使いで、使うと周りがとことん寒くなるの。んでもってこの髪。バッキバキに凍ってるとこに、一人だけ赤い髪って目立つでしょ?それで"戦場のハルボネビア"』