ハルボネビアの舞い
□第四夜
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『え、なんでそうなったし。』
はーい。紅炎に戦闘を挑まれましたー。って、いやいやいや、まじでなんでそうなったし。私ちゃんと戦ったじゃないですか。
「丁度体を動かしたいと思っていてな。金属器は使わんから安心しろ」
『当たり前でしょーが。体動かしたいなら他の従者にでも頼んだら?』
「お前も従者だろう」
…こ・い・つ・は…
なんで人の揚げ足を取るんだ。顔やっぱりまだギラギラしてるし。
戻ってこい。こけし紅炎。そう思いながらイライラするのをなんとか抑えようと地団太を思いっきり踏みまくった。
ん?まて。
"思いっきり”?
恐る恐る地面を見ると
はい。思いっきりなんで加減なんて考えてませんよ。地面思いっきりへこんでますよ。
ヤバイヤバイヤバイ。誤解される。ヤバイ。
「…おい。なんだそれは」
『…元から…?』
「嘘つけ。」
はい。当たり前です。どうしよう。ここでこいつに追求されたら色々めんどくさいことになるし。それは避けたい。なら全速力でここから逃げ…
「蓮玉」
ふと名前を呼ばれる。
「ここで追求されたいか?」
はい。選択肢無しですよねわかります。『わかりましたよ』と呟いて審判の指定した位置に立つ。
『降参したら終わりで』
「いいだろう。試合開始直後に降参はするな」
心の中でチッと舌打ちする。ギャラリーはまたうるさくなってきていて、
ふと上を見るとジュダルが木の上にいた。あのやろー…ことの発端があいつなのに呑気に笑ってやがる。よし。試合終わったら殺す
「では試合を始める」
紅炎が剣を構える。私もいつでも動ける体勢で構えた。紅炎は多分かなり強いから、本気でやらないと死ぬな。よし、と目をつむり、肩の力を抜いて目の前の相手に集中した