その娘、怪奇につき2
□ゲス陰陽師と第二補佐官殿
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柿助side
こんにちは。俺は柿助です。桃太郎のお供でしたが、今は地獄の獄卒として働いています。
『あ、柿助さん、それとってください』
「うきっ!(はいどうぞ!)」
『ありがとうございます。で、この資料ですが─』
この人は瑠璃様。地獄で三番目に偉い人です。鬼灯様とこの人と閻魔大王がいるおかげで地獄が成り立っているようなものです。
美人で、性格もよし、勉学はもちろんのこと、運動神経、家庭力もあって、正に完璧な人です。
なんでそんな人と今二人だって?それは…
『───このように、伊邪那岐命と伊邪那美命が国作りをはじめるまで、大分タイムロスがありました。ここは国作りの最初の部分で結構重要です。覚えていて損は無いですよ』
「先生、質問いいですか?」
『はいどうぞ』
瑠璃様は今、大学の講師をやっています。
『ふう…疲れましたね』
「お疲れ様です」
『柿助さんもお疲れ様です。今日もお手伝いありがとうございます』
瑠璃様は現世視察の時に結構コネがあるらしく、今回もそのコネで一週間大学の派遣講師をやっているそうです。因みに、日本文学という日本の古代の講師だそうです。
「俺も勉強になります。瑠璃様説明分かり易いので」
『あはは。そんなことはないですよ』
俺は、不喜処の代表としてお手伝いに来ています。講師のお手伝いとなると、やっぱり人間に近い動物の方がいいらしい。
「あ!瑠璃先生!」
『あら、皆さんお揃いでどうしたんですか?』
「この前のケーキ美味しかったですー!」
「あたし作り方教えて欲しい!」
『じゃあ明日調理場をお借りしましょうか。その代わり、また色々教えて下さいね』
「先生も若いのに今時の流行りとかそういうのには疎いよね〜」
『なっ!失礼な!』
「先生かわいー!」
「あ、柿助くんだ!すごいフサフサー!」
こんな感じで、瑠璃様は現世の人達にも人気です。ただ…って、ちょっと痛い待って引っ張らないで
ただ、瑠璃様はたまにポロッとボロを出しそうになる。日本文学の先生だからしょうがないとはおもうけど。
例えば、
『この木花咲耶姫と石長姫ですが、古事記には確かに、石長姫は醜いと書かれています。
しかし!石長姫もなかなかの美人だぞ!?皆が醜いといっても私は断言する!彼女はかわいい!恋する乙女じゃないですか!!これを誰が醜いと言えますか!?地獄に落ちた亡者に比べればかわいい!』
といって生徒を唖然とさせた。
古事記、日本書紀などの古典文学には醜いとかいてあるのにそれを真っ向から否定したら怪しまれる。そういう危ないところがあるのです。