その娘、怪奇につき2
□大判小判
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「暇だねぇ…」
「暇だにゃ…」
『暇ですね…』
「いや、瑠璃さんは仕事じゃろ」
『檎、残念ながら貴方もです』
今は衆合地獄帰りに檎の店に寄っている。毎日デスクワークなんだからたまにはいいだろと勝手に思ってみる。
「地獄の補佐官も大変だにゃ」
『そういや、小判さんなんでここいるんですか?』
「ネタがなくてにゃー…
いや、お前さんとあの補佐官の記事は書かんから!書かんからその金棒おろしてくれ!」
『しょうがないですね…
檎、団子七本下さい。小判さんと貴方に一本ずつ奢るんで』
「あいよーん」
注文を受け取った檎は店の中に入っていった。あれもやる気さえ出せばなあ…初めてあった時もあんな感じだったけど。…あ、そうだ
『小判さんって、猫又ですよね?』
「まあそうだにゃ」
『てことは1回死んでるんですよね?あなたみたいな猫が死ぬなんて、どんなことをしでかしたのかなーって思いまして』
「あー、んにゃー…」
ふむ、言葉を濁すな。聞いてはいけないことだっただろうか
『無理に話さなくともいいです』
「…じゃあ、あんたのなんか聞かせてくれたら話してやるにゃ」
『ネタにするのは無しですよ』
「チッ」
『おい。
…まあいいです。私は生贄にされて1回死んでから鬼になりました。はい終わり』
「随分簡単に言うん…
わっちはご察しの通り、1回死んだ。しかも飼い主と心中でな」
『…お互い苦労してますね』
「団子持ってきたぞい」
「お前は悩みとは無縁そうだにゃ」
「いやいやー、わしにだって悩みはあるぞ?金がないとか金がないとか金がないとか」
うん。悩みとは無縁だ。
どうせあれだろ?博打やってすったんだろ?そう思いながら団子に手を…あれ?
『だんご…?』
団子がない。周りを見る。
一本は檎の口の中
一本は小判さんの口の中
五本は鬼灯の口の中
…鬼灯?
ねえ?なんでもっしゃもっしゃ食べてんの?それ私の団子。ここの団子少し高めなんだよ?ねぇ?
「ごちそうさまです」
『私に対する宣戦布告かぁぁぁぁぁ!』