怪奇な娘と一人のみなしご
□そのいち
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丁side
「みなしご」
またですか。
村の悪ガキ達に囲まれる。慣れてはいるのだが、やっぱり石を投げられたりしたら痛い。さてどうやって逃げようか。そう思っていると
『まてぇ!このくそガキどもぉ!』
女とは思えない口調が聞こえた。上から聞こえる。
上から?
嫌な予感がして上を見上げると
『また性懲りもなくやってんのかガキ共』
「うるせぇ!お前丁と同じ年だろが!どうやってもお前俺より下だろ!」
『ふっ、甘いな。精神年齢は既に君よりふた周りほど上だ!』
「ナ、ナンダッテー!」
あの馬鹿…瑠璃は木に登っていた。
いや精神年齢ふた周り上って完全に30代じゃないですか。どんだけ年食ってんですか
『丁いじめんなアホ!』
「エラソーにすんな!」
ボス的なやつにそう言われると、瑠璃は木で何かゴソゴソとし始めた。「ごめんね」って呟くのが聞こえたかと思うと
『くらえっ』
瑠璃が投げたものはボス的なやつの顔面にクリーンヒットした。
そしてそれはよく見ると
「かっ、かえるだー!」
『まだまだいるよぉ?カエルちゃんにミミズちゃん、蚕ちゃんまで種類様々。どれがお好き?』
悪ガキよりさらに悪ガキそうな表情を彼女は浮かべた。
そうすると悪ガキ達は逃げていった。
すいません瑠璃、完全にあなたの方が精神年齢下です。
『丁。なにかされてない?』
木の上からふわっと笑う彼女。でも問題はそこじゃなくて、
「瑠璃、降りれますか?」
『あ、…無理です』
ここに馬鹿が居ます。なんですかこの馬鹿。後先考え無さすぎです。
『いやぁ、丁がまたなんかされてたからいてもたっても居られなくて。それにこの巫女服飛べそうじゃない?ムササビみたいに』
「なに馬鹿なこと言ってるんですか。それに、私なんか庇わなくていいですよ。」
『だってあなた、何もしなかったら
"いつものこと"ってうけいれるじゃん。それがあたしは嫌なだけ』
さも当然のようにいう彼女。少し、嬉しい、と言う気持ちを感じた。
しょうがないと思い、自分も木に登る。
「ほら、一緒に降りますよ」
『っ!!うん!』
それから、途中まで降りて
『なんだか飛べそうな気がする!』
と、彼女が飛び降りるのは数分後