怪奇な娘と一人のみなしご
□はじめまして
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丁side
いつものこと。
石を投げられ、避けずまれる
ただ、一つだけ違ったのは
『こらぁぁぁぁ!散れぇぇえぇぇ!』
「うわぁぁぁぁ!こえぇぇぇ!」
あなたが来たこと
『ふぅ。君、大丈夫?』
一息ついて私の方を向き、ふわりと笑う。みなしごだったため、昔からこんな顔を向けられたことなんて無かったから正直驚いた
「なんですか、なんで助けたんですか」
自分にはいつものことだったのに。
この村に来て日は浅いけど、もうこんなこと日常になり始めていたのに
『なんでってそりゃ、私の自己満足になるかもしれないけどさ、見てるといらいらするんだよねあーゆーの。』
「そうですか。ありがとうございました。」
とりあえず、感謝の意をこめお礼を言い、その場から去ろうとした
小さく手を振る彼女を見て、口が緩みそうになった
「邪魔だ。外に出掛けていろ」
これもいつものこと。
所詮みなしごだ。とりあえず出かけて歩いていた
『あ、こんにちは』
「こんにちは」
そうだった。ここは昨日あの人に会った場所。川のほとりだ。もともと散歩コースのようなものだったし、ついここに来てしまった。
彼女は私のことをキラキラした目で見つめてきたかと思うと
『ねえねぇ、君の名前は?』
名前を問うてきた。いきなりそれですか。てかあなた巫女っぽいから名前おしえるの少し抵抗あるんですよ。
「知ってどうするんですか」
『別に。ただの知識的欲求だから』
大人っぽいのか、子供っぽいのか、よくわからん。けど、昨日助けてもらったしお礼にでも教えてあげようと思った
「…丁、です」
すると彼女は頭にクエスチョンマークを浮かべていた。その何故かその姿には若干得体のしれない恐ろしさが混じっていた気がする
「私はこの村に厄介になっている身なので。名前を貰っているだけありがたいことだと思います」
急いでフォローをいれる。
『はぁ?』
あの得体のしれない恐ろしさがますます強くなる。だが、その瞳は
虚ろで、
悲しいものだった
『そんな名前だめ!私がほかの名前付ける!』
「あなた、漢字書けるんですか?」
『そっ、そうだった…でもなぁ。うーん…』
見るからに漢字が分からなそうだったから大体分かっていたが。読み方が同じでも漢字によって意味は全然変わってくるのでわからないといけないのだが、彼女は諦めようとしなかった
『よし、丁、これから私と会ったらあなたは”チョウ"ではなく”テイ"って呼ぶから!』
いきなり私を指さしたと思うとそんなことを言い出した。なんだテイって
「なんでですか?テイ?」
『漢字の丁はテイとも読むの。読み方一つで漢字の意味は変わるからね。
私といる時は、"召使"なんかじゃなくて、普通の子供としていて欲しいからさ』
「…テイ」
てい、悪い気はしなかった。読み方一つでも名前の意味は変わるのだ。てい、ていか…
「そういえば、あなたの名前は?」
『あたし?瑠璃っていうんだ』
はじめまして
これが、君との初めての出会い