その娘、怪奇につき
□お前ばっかりずるいと思うんだ
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「ねぇねぇ二人ともー」
『「あ"?」』
「なんでそんな冷たい目で見るの?」
今日で鬼灯は四徹、私は二徹目である。理由はこのサボり魔。鬼灯が最初の二夜は私に徹夜させないように頑張ってくれていたみたいだが限界が来たらしく、頼まれ私も徹夜している。
「それなのにあなたはそんなぬくぬくと…」
「いやいや、それよりさ、今度どっちかに現世に出張行ってもらいたくて頼みに来たんだけど。近畿地方の調s」
ガタッ
死にそうだった私と鬼灯の頭は一気に覚醒する。そして無言の睨み合い。
「え、何これ怖い」
「…瑠璃、今回は私が行ってあげましょう。徹夜明けでゆっくり休みたいでしょうし」
『いやです。あんたこの前現世行ったでしょ。私だって鹿ともふもふしたいそんでもって大阪行きたい』
しばらく睨み合いが続いた後
「じゃーん」
『けーん』
「『ぽい!』」
「おっしゃぁぁぁ!」
『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
何故か始められたじゃんけんの後バリトンボイスと断末魔が閻魔庁に響いた
『ううっ、行きたかったなぁ近畿』
「まぁまぁ、仕方ないじゃない。」
やっと徹夜も終わり、お香さんと飲みに来ていた。お香さんとは神代からの知り合いなんだけど、やっぱりさんをつけてしまう。それほど憧れの女性なんだよなこの人。
「で?鬼灯様はいつから行くって?」
『明後日から四日間くらいだった気がする…ヒック』
「あらあら、やけ酒は体に悪いわよぉ?」
『明日休みだし…大丈夫。てか、全部あのバリトンボイスのせいだから!』
「ほう、私のせいですか」
体の動きがとまる。お香さんは「あらぁ、」なんて言ってるからもうわかるんだけど。体がギギギと音を立てて後ろを向く。
『こんにちはバリトンボイス』
「さようなら断末魔」
鬼灯が思いっきり金棒を振り下ろした為、瞬時によけた。
『なんでここにいるのさ!せっかくお酒飲んでたのに!』
酔いが一気に冷めた。てかこの人マジでなんでここいんの?準備してるんじゃなかったの?
「いえ、お土産は何がいいかと」
『ふぇ?』
「せっかく近畿行くんですから」
意外、というか、こんなこと言われるとか思ってもいなかったのでビビった。お陰で腑抜けた声を上げてしまったよこのやろ。
『…八ツ橋』
「わかりました」
そう言うと鬼灯はすぐにかえっていった。