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□はにかみを数えて
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あ、また笑った…。
同じクラスの柘榴さんは、いつもはにかむような笑顔をしてると、最近気付いた。
ただ目が合っただけなのに
ふわっと微笑んでくれて…それがくすぐったいと感じたのはいつからだったか…。
それに気付いてから、自然と柘榴さんを目で追っていて、授業中も妙に視界に入ってくる。(席が俺より前の方でよかったとか、実は思っていたり…)
『失礼します…』
「っ!?柘榴さん!?」
ある日の部活の最中、
ここに来る筈もない彼女が少し遠慮がちに訪ねてきた。
俺に…用とか…?
そんな青臭い期待を持ちながら駆け寄ると、そんな筈もない、カントクに用事だった。
けど…
「あー、か、カントクか…」
『うん、いるかな?』
「っ…」
またこのフワリとした笑みを向けてくれる。
妙にドキッとしたのは、動揺した態度に出てしまったかもしれない…。
そのあとは、勘の鋭い伊月と黒子にやたらからかわれたが、カントクに用事を済ませたであろう彼女にまた笑顔を貰ったから、アイツらも許してやろう。(単純だな俺…)
「あ…3回目…」
『…?』
昼休みの教室で、俺はまた彼女と目を合わせていた…うん、3回目…。
そう…3回目…いやいやいや!流石に向こうも変に思うだろ!?見てるの気付かれるだろ!?
あれ…俺、なんかヤバくね?不審者だよな…
「ちょっと日向君聞いてる?もしもーし」
「え、あ、わりぃ…聞いてなかった…」
「……最近やたら千羽のこと気にしてるわね?何?惚れちゃったわけ?」
「ちょ!?おま!!んなでかい声で言ってんじゃねーよ!!!」
焦りながらも、カントクに言われてまた気付いた…
あれ?俺、柘榴さんに惚れてんのか???
「んふふ〜♪青春してるわね〜♪」
「う、うるせーよ!別に…惚れてる訳じゃ…」
「そーゆーのいいから♪つか彼女も良いけどこっちの話も大事だから聞け?」
カントクの笑顔が怖い。
それでも柘榴さんが気になる俺は、もう末期なのだろう…。
【はにかみを数えて】
気付いたときから惚れてたのかもしれねぇな。
あー、どーやってあれ、独占できっかな?
(やべ…可愛い…)
(はよ告ってこいや!!)
*fin*