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□幸せだったと…
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「火拳!!!!!」




「火銃!!!!!」




「炎戒!!火柱ぁぁ!!!」




白ひげ海賊団。
2番隊隊長。

ポートガス・D・エース。

メラメラの実を食べ、炎人間になったエースは、

私の想い人でもあったりする。




「大丈夫か千羽?」
『私だって守られてばかりじゃないわ!!』
「そーでした(笑)」




私は悪魔の実については全くわからないけど…




「「2番隊の大勝利だぁぁぁぁ」」




エースのことは何でも知りたいと思ってしまう。























『ねぇ、エース?』
「…ん〜?」
『寝てる?』
「…あー、起きてる…」
『目開いてないじゃん…。』




月明かりの照らす部屋に、お酒を飲んでほろ酔い気分の私たち。

エースは今にも寝てしまいそうだ。




『私ね、時々思うの。』
「…」
『どこまで、エースに届くのかな、って…。』
「どーゆー…意味だ?」
『なんだ、起きてるの?』
「んー…」




まだ少し残っていたお酒をちびちび飲みながら口を開くと、のっそりとエースは起き上がった。




「で?どういう意味だよ…」
『んー、私にも、上手く言えないんだけどね…』
「ん?」
『戦ってるエースを見てると、不意に怖くなるんだ。』
「…」
『いつか、置いていかれるんじゃないかって…。』
「何言ってんだよ」
『いつかこの手が、届かなくなるんじゃないかって…』
「そんなことねぇ」
『言い切れないよね?今だって、私なんか守られてばかり。』




困ったように私を見る瞳。

当たり前だ。

私自身、何言ってるかわからないんだから。



エースより強くなりたいとか、守られるのが嫌だとか、そういうんじゃない。




ただ、

なんとなく、




『…ごめん、何言ってるかわかんないよね』
「いや…」
『そりゃ私なんかじゃ届かないか!エースの炎に触れただけでイチコロだろうし!』
「俺じゃ千羽はやれねぇよ?」
『嘘だー!私熱いのダメだよ!』
「嘘じゃねぇ…」
『…やだ、そんな顔、させたかったわけじゃないよ…』




私の気持ちが移ってしまったかのように、エースの表情が不安になっていた。

そして、

ぎゅっと抱きしめられた。




『エース?』
「ちゃんと届いてる。俺は、お前を置いて行ったりしねぇよ。」
『…』
「触ってみる?俺の炎…」
「…」




離れたかと思うと、エースは手に、炎を宿していた。

そっと手を伸ばすと、その手が掴まれる。




熱い…

そう感じるのに、

私の手は傷一つついていない…。




それが余計に、私の心を揺るがす。




「な?大丈夫だろ?」
『ねぇ…エース?』
「なんだ?」
『包んで?』
「え?」
『その炎で、私を包んで…』
「…まだ、そんなに不安か?」
『お願い…。』




熱いのに、

なんで、

私は灰にならないんだろう。




こんなにも大切にされているのに、

どうして不安なのだろう。




この熱を感じる度に、

どんどん遠くに感じてしまう。









『私…エースの火になりたい』
「それは無理だなぁ」
『なんでこんなに、遠くに感じるのかな?』
「…」
『エースの炎に包まれても…何ともないくらい、大事にされてるのに…なんで…』
「千羽…」




『どこにもいかないでよ…エース…。』






















その日、一夜を共にした。

何度も愛されて、何度も好きだと言ってもらった。

エースの一部になりたくて、

もっと繋がりたくて…。






















「千羽?寝ちまったか?」
『…ん、起きてる…』
「まだ不安?」
『…わかんない』
「そこは否定するとこだろ?」
『そうだね…。』




水平線から日が昇ってきたのか、外は少し明るくなっている。

トクントクンと聞こえる鼓動は、エースが傍にいることを教えてくれているようだった。




「俺はお前に生きててほしい」
『え?』
「でもさ…そんなに不安なら…」




―俺が死んだら、一緒に死んでくれよ…。




太陽が照らす朝日に当たり、エースの笑顔が輝いていた。




「千羽のことは俺が死なせねぇ。だから安心しろ!」
『なんか、エースじゃないみたい。』
「俺はよ、これ以上の愛し方、わかんねぇから…。」
『…うん。』
「やっと笑った。」
『ありがとう、エース。』






















眠りに落ちる寸前、貴方が言った言葉、今でも覚えているよ。




だから、




だからね?




私は今、精一杯生きてる…。






















―でもやっぱ、幸せに生きてくれよ?千羽…。









胸を張って、また笑顔で会おう?

そうしたら、エースに伝えたい。




【幸せだったと…】




*fin*




2015.8.15
制作:柘榴千里
 

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