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□もっと甘えて?
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『ぷっはー!うまひ!』
エ「ちっと飲みすぎじゃねぇか?」
マ「エースの言う通りだ。いい加減にしとけよぃ」
『大丈夫ぅー!』
マ「サッチ、やめさせろ」
サ「はいチハネ〜?俺のと交換!」
『はーい!』
宴でチハネが暴走し始めたら俺の出番。普段甘やかしてるせいか、理性を無くしても俺のいうことだけは聞いてくれる彼女。案の定、ストッパーになっている。
『んー?なんか味わかんなくなってきたー!』
エ「サッチ、中身は水か?」
サ「あぁ。やめろって言うと逆効果だからな。」
エ「確かに。」
マ「俺たちを困らせたいんだよぃ、全く困ったお姫様だ。」
いつもは真面目な奴なんだが、酔うと甘えたになる。だから、元は凄く我が儘なのだろう。
エ「俺はもう少し向こうで飲んでくる!」
『やだ!』
エ「は?ちょ、離せよチハネ!」
『エースはここで飲むの!』
エ「お前もう飲まねぇだろ!?酔ってるし!!」
『酔ってねぇよ』
マ「酔ってねぇ奴の台詞じゃねぇよぃ」
『じゃあ酔ってない時何て言えばいいのさ!!』
マ「冷静なのかどっちなんだ!!!」
そんなやり取りを隣で見ながら、俺はチハネと交換した酒を飲みほす。するとチハネは、これもあげる!などと可愛く差し出してきた。それが水ともわからずに。
サ「それはチハネの!」
『だからーあげる!』
サ「もう飲まねぇのか?」
『えーと〜…じゃあサッチが飲んだら貰う!』
サ「ハハッ何言ってんだよ」
いつの間にか俺とチハネだけが残された。こうなったチハネの相手をするのが面倒なのだろう。
けど、俺的には役得だ。
サ「わかったわかった!ほら、一口貰うから、あとはチハネが飲めよ!」
『んー』
サ「どうした?眠いか?」
『違う…』
ちゃんと見せるように、チハネからもらった水を一口飲むと、満足したように笑って見せられた。
けどすぐにふわっと俺に寄り添ったかと思うと、ぎゅっとしがみついてくる。
正直、こうやって甘えられた時は、結構きつかったりすんだぜ…。
嬉しい反面、ドキッとしたりもするからな…。
チハネにとって俺は頼りになる兄貴だろう。
俺を呼ぶ普段のチハネを思い出すと、尊敬と信頼にあふれてやがる。
ほんとは、
マルコみたいに、時々褒められる時の笑顔を見せてたり、エースみたいに、見栄張ってみたり、イゾウみたいに、話す時緊張してしまったり、してほしい。
そう思うこともある。
サ「どーした?今日はやけにくっついてくるんだなぁ!この甘えたさん。」
『だって…』
サ「ん?」
可愛い妹だから。
守らなきゃならないから。
俺はずっと、この思いを隠すことに決めてたんだ。
『誰も…見てないから…。』
サ「っ…」
嫌われたくねぇし、
アイツらに見せない、甘えたチハネを見られなくなるなんて、もっとキツイからよ…。
『サッチ?』
サ「…なんだよ」
『ぎゅってしていい…?』
サ「っ…ほんとに、甘えただな…」
そんな俺の気も知らずに、
また可愛いことを言ってくるチハネに、俺はいつまで耐えられっかな?
『サッチだーいすき!』
サ「…俺も、チハネが、好きだぜ…。」
今目の前にいるのは、俺しか知らないチハネ。
きっと明日には忘れちまうんだろうけどな…こんだけ飲んでりゃ。
それでもいい。
今はただ…
【もっと甘えて?】
俺の腕に守られてればいい。
他の誰でもなく、
俺にだけ…。
(ねぇサッチ?ちゅーしちゃだめ?)
(それはダメ!)
(けちー)
(この酔っ払いが…。)
*FIN*
2015.09.05
製作者:柘榴千里