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□映画と貴方と私
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ファンタジー映画なんて、花宮は全く興味がなかったようだ。
私がディ○ニーが大好きなだけ。無理やり一緒に来たようなもの。
それでも、
マレフィセントはとても面白かった。
『すんごーくよかったぁぁ!マレフィセント素敵すぎる…』
「そうか?俺はむしろ、人間の奴らの方が現実的でよかったけど?」
『人間は醜いよ!酷い!最低だよ…。』
「何を今更。俺は共感できるぜ?」
『花宮は楽しんでるからでしょー?』
「もちろん」
観点がまるで違うみたいだが、
どうやら彼は彼なりに楽しめたようだ。
だって、とても上機嫌に私を苛めてくる。
『私、マレフィセントみたいになりたい!ううん、そういう心でいる!!うん!』
「無理だろ?」
『そんなことない!!』
ニヤニヤしながら見下したように見られても、今の私には殆ど通用しない!
なんてったって!
凄く心が癒されたから☆
でも、彼はやっぱり頭がいい。
確信をついてるように話してくる…。
「結局、あの魔女も憎しみや恨みがあったんだ。姫と会わなきゃ醜い人間と同じだろ?」
『っ…そんなことない、よ…』
「ふはっ、覇気がねぇぞ?」
『っ…花宮の意地悪!』
「誉め言葉だな」
確かにそう。
人の心なんて移りやすく、恨みや憎しみ、嫉妬なんて誰だってする。
きっと…誰だって…
花宮も、そうなのかな?
そう、小さな不安を小さく描いた。
「まぁあれだ…。お前は魔女なんかより、姫みたいにいろよ。」
『…え?』
不意に立ち止まったかと思うと、突然意味がわからないことを言い出した彼。
「そしたら、俺はあの魔女みたいに…。」
『花宮…?』
でも…
「…っ。なんて言うかよ、ばぁか。」
『…花宮…うぐっ』
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
不敵な笑みを浮かべて、楽しそうに見えたのは、きっと間違いじゃないと思う。
さっき言いかけた言葉も、きっと嘘じゃない。
だから、
少し照れ隠しをしているだと思う。
【映画と貴方と私】
次はどんな映画を観に行こうか?
そんな話を振ると、もう行かないなどと答える彼。
でもまた付き合ってくれるんだと、私は確信している。
(花宮は優しいね)
(は?当たり前のこと言うなよバァカ)
*fin*