Dream 2(HQ)
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烏野に入学し、早1年。
烏野での1年はいろいろなことがありすぎてあっという間だった。
今日からは後輩も入り田中がいつも以上にうるさかったなぁなんて思いながら、専用のジャージに着替える。
「おーい颯斗!
お前おいて行きやがったなっ⁉︎」
やっぱりうるさい田中が俺の肩に腕を回しガラの悪い顔をしていた。
「相変わらずうっせーやつだなお前は。
はい、着替えの邪魔」
やんわりと腕をどかし黒いジャージを着て、少し乱れた髪を手櫛で直し、部室を出ようとすると誰かが俺の胸に飛び込んできた。
「おっ!
あ!悪い颯斗!
ボーッとしてた!」
なんとも可愛い天使だ。
垂れた太めの眉、キラキラとした大きい目、その目尻には愛らしい泣きぼくろ。
なんだただのエンジェルか。
そのままの勢いでぎゅっと俺より小さい体を抱きしめた。
「ちょ颯斗!!
離せこらー!!」
「さーせん。
ちょっと腕が反抗期で」
ぎゅうぎゅうと抱きしめていると誰かに腕を掴まれ、顔を上げると般若な大地さんがいた。
「…おはよーございまーす
大地さん。」
パッとスガさんを離し笑顔で大地さんに挨拶すると、ほんのり般若を残し「はよ」と言われた。
「んじゃ俺、下にある新品のボールとネットはこんどきまーす」
そそくさと部室を出て、一階の物置から箱に詰まったボールとネットを運び体育館のボール入れに入れ、ほつれ始めたネットと新品を交換し物置にしまった。
「あれ颯斗
早いな」
「はよーす力
授業よく寝たから気分爽快なんだ」
「おい。テスト知らねーぞ俺。」
「テスト前に教科書読めば余裕でーす」
イエイとピースすると膝裏を思いっきり蹴られその場に腕を付いた。
「ちょっ力さん?!
手加減って言葉知ってますかっ⁈」
「妥協していいことないぞ」
「なんだおいイケメンめ」
冷めた目を向けられ力はそのまま二階の部室へと行ってしまった。
その後も、来た2年と駄弁り、降りて来た大地さん、スガさん、田中と一緒に体育館へと再び踏み入れた。
「どんな奴くんです?」
「なんだっけ?
大地ー2人いたよな入部届持ってきたやつ」
「おー!
1人すごいぞ。なんたってあの北川第一だからな」
その単語に俺は眉をピクリとひそめた。
北川第一かぁ。
ふーん。
まぁいいさ。
誰だろうとネットのこっちはもう味方。
敵視するのは、もちろん他校、そして同じポジションの奴だ。
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