Dream 2(HQ)

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「大地さーん
俺あいつら見てきまーす」

明らかに楽しむ俺を睨むが「すぐに戻れよ」と言って外に出してくれた。

あいつらまだギャーギャー騒ぐ声が聞こえる。
バカだなー実にバカだ。

「へい1年坊主ども」

俺の声に反応し、二人ともすごい勢いで顔を向けた。

「えっと…っ」

「立花颯斗だ。
まぁそんなんどーでもいんだけどさ。
お前らなに?どうしたかったわけ?」

ポケットに入れてた飴を口に放り込み横目で2人を見た。

「お、俺、影山倒したくて…」

倒すも何も個人の競技じゃあるまいし。
ため息をつき体育館に戻ろうとした。

「えっ?!
行っちゃうんですか?!」

「当たり前だろ
今回はお前らが悪い。俺を巻き込むな」

自分から近づいたのはわかってるが、だめだ今のままじゃ。

俺はガラガラと扉を開け中に入ると後ろからさっきまで黙っていた影山が叫んだ。

「すいませんでした!!
日向ともちゃんと協力します!
部活に参加させて下さい!!」

俺は息を吐き大地さんと入れ替わるようにスガさんたちの元へと戻った。

「本音は?」

「っ…」

「…(じー)」

「〜っ…試合で…
今の日向と協力するくらいなら
レシーブもトスもスパイクも
全部俺一人でやれればいいのにって思います」

「何言ってんのオマエェ!?」

やーっぱりバカだな。
俺は不安そうに見守るスガさんを後ろから髪を撫でる。
やわっこい。ふわっふわしてる。美味しそう。

「はっはっは!!何で本当のこと言っちゃうんだよ本音を!
良いと思うよそういうの!
でもさ
ボールを落としちゃダメ
持ってもダメ
一人が続けて二度触るのもダメ
…っていうバレーボールで
どうやって一人で戦うの?」

大地さんはそういうとガラガラと体育館の扉を閉めた。

その後、大地さんは少し不機嫌そうに戻ってきて、集まった二年にさっきの1年坊主共の話をしてとりあえず練習が始まった。

時計はあっという間に7時を示していた。
熱気の篭った体育館はまだ外は寒いというのに汗が流れた。

「勝負して勝ったら入れてください‼︎‼︎
ーとか言って来そうじゃないスか?アイツら」

田中が日向たちの真似をするように大きい声で叫んだ。

「あり得る!
頭冷やしてチョコっと反省の色でも見せればいいだけなんだけどな」

「アイツらもそこまで単細胞じゃないだろ
ーでも仮にそう来るとしたら
影山が自分の個人技で何とかしようとするんだろうな
もしも影山が自分個人の力だけで勝てるっておもってるとしたらー…影山は中学から成長してないってことだな
中学でそうだった様にある程度まだは個人技で通用しても更に上へは行けない」

「……あいつ
自分は戦力になるって
それだけで部に入る理由になるって
そう言ってました」

俺はさっき外で聞こえてきた会話を大地さんにチクるとスガさんや田中は苦笑い、大地さんはため息をついた。

「キャプテン‼︎‼︎」

外から田中の叫びより遥かにデカイ声が響いた。




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