storyA
□満月が見てる
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「ベジータ…やっぱり来てくれたのね…」
スタスタと二歩三歩歩み寄り、オレに微笑む表情は、今までと何かが違う。
ズキン
オレの胸の中で何かの痛みが走る。
「なんだか…ベジータに会いたくてね…トランクスも寝たことだし、満月だし…なんとなく外に出てみたの……そしたら…」
「ガキは…トランクスというのか……」
「そうよ!あなたに本当にそっくりよ…あ、尻尾も生えてたけど、すぐに切っちゃったわよ……」
ブルマ…そんなに嬉しそうな顔をするな…
オレはガキやお前の顔を見ようともして無いぞ。一人サイヤ人が増えた…ただそれだけのことだ。
だが、オレの口から出たのは、意外な言葉だった。
「ガキ…トランクスを見せてくれ」
「うん!」
ブルマはオレの手を引き、薄暗い室内に寝ているトランクスという名のガキのそばに連れて来た。
小さなベッドに寝ているそれは…小さく…丸く…すぐに死んでしまいそなほど弱く見えた。が、気を探れば、弱いが間違ないサイヤ人独特のものだ。
ふっ…
いつかこいつを強い戦士に鍛えるのも悪くないな。