storyA

□女心は移ろう
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「ベジータはまだいるのか?」
「うん、まあね…ハックシュン!!」
このボク、クリリンは、今日はヤムチャさんに用があってここカプセルコーポレーションに来たんだけど、気が感じられないんだ。
広いベランダで、チュウチュウと出されたオレンジジュースを飲みながら、気を探る。代わりに、体にビシビシと伝わってくるのは、ベジータの痛いぐらいに強大な気。
「ブルマさん…ヤムチャさんはどうしたんですか?」
「ち、ちょっと修行に行ってるのよ。」
そう言ってブルマさんは、温かいレモンティを一口、啜った。
「ふぅん…まあいいや。ヤムチャさんはいつか帰りますよね?そしたらカメハウスまで連絡するように言っといてもらえます?」
「いい…わよ…クシャン」
「ブルマさん…風邪ひいたんですか?」
「そうなのよ…最近朝晩冷え込むでしょ?」
「そうですね。」

お大事に、そう言おうとした時だった。

「ブルマ!ブルマはどこだ?」

忘れることが出来ないあの特徴的な、やや高くて、よくとおる声が聞こえてきたんだ。
しかも…かなりの…
怒気を含んでいる。
「ちょっと待ってね、クリリン。すぐ戻るから」
「はい…気をつけて下さいね。ベジータはかなり怒ってるみたいですよ…」
「アンタ達…よくそんなことがわかるわね…」
あきれた様な表情をしながらも、ブルマさんはベジータの声がする方に出かけて言った。

「…なあに、ベジータ。…」
ドアを隔てた向こうで、ブルマさんの小さな声が聞こえる。
「…ブルマ…またアイツがいるのか?」
「違うわよ。クリリンくんよ」

その途端、ベジータの怒りを含んだ荒い気がすっと静まるのを感じた。
「ケッ。まあいい。今晩は重力室の設定を最大限に上げる。メンテナンスしておけ」
「はいはい分かりましたよ…」

しばらくゴソゴソした音が聞こえた、と思ったら、ブルマさんが戻って来た。
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