storyA

□満月が見てる
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ブルマがオレのガキを産んで帰ってから、ほぼ四週間というものの、彼女の顔を見て無い。
というか、ガキの顔さえ見て無い。
だが、オレはガキなどには興味無い。
それより、更なるパワーアップと、間近にせまった人造人間襲来にそなえ、新しい必殺技を開発しなくてはならないのだ。
そう…この『宇宙誕生』を名を冠したこの技、「ビッグバンアタック」だ。

もう少し…もう少しで完成する。

「ハアハア…ハアハア…きょうはこのぐらいにしておくか…」

太陽はとっくに沈み、東の空には、明るい星座が昇りだし、低くやけに大きな真っ赤な満月が地平線スレスレに見える。
夜の闇を切り裂くように高速で飛行する。広大な砂漠を越え、見慣れた西の都の灯が見えて来た。

間も無く特徴的な建物が見えて来ると、いつかワインを飲まされたあのベランダが見えて来た。
チラリ…そちらを見ると、白い人影がぼんやり夜の闇に浮かんでいる。

「ブルマ…」

オレはその白いはかなげなシルエットに惹かれるように、母となったブルマの前に降り立った。
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