storyB
□雷鳴
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「もう…知らないっ」
ブルマは夕方の街をさまよい続けた。
理由は二つ、恋人と別れたばかりであること。同居人ベジータが、次から次へと無茶な要求をして来ることだ。
恋人。
女は、男に自分だけを見ていて欲しいとおもうものだ。
長い春ゆえの、間違いだったのかもしれない
自分の歳より一回り若い子との浮気を知った時、彼との関係に自ら終止符を打った。
泣かなかった。
泣く価値も無い…そう自分に言い聞かせていた。
同居人も同居人だ。
確かに自分が好奇心から招入れたのは間違ない。
だが、彼の目的のための要求は日々エスカレーする。
パワーアップのための重力室。
攻撃と防御の訓練を補助するマシン。
日々設定を上げ、負荷をかけてゆくベジータの体は、ダウン寸前に見えた。
「あいつ…この前酷い目にあったばかりだというのに…まったくもう!あったまに来ちゃうわ!」
日没近いこの西の都で、帰宅する人の波に逆らうように、オフィス街へと歩みを進めていた。
目的地があったわけでは無い。
無機質なコンクリートのビルが林立するオフィス街こそ、ブルマの今の心境に近かったからかもしれない。