storyB
□紅
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いつの頃からだろう。
夕食時に流すBGMを、クラシックにしたのは。
外では6月の針のように細い雨が音もなく降り続いている。
もし外出すれば、シットリ水を含んだひんやりとした空気を身に纏うことになろう。
外とは対照的に、快適に空調がなされたここカプセルコーポレーションの食堂のテーブルには、いつものように大量の食事が並べられていた。
食しているのは、ベジータ。異星の人間だ。
ナイフとフォーク、時には箸までも器用に使い、次々と口に運んで行く。
ブルマは、そんな彼をシンク付近から眺めるのが嫌いでは無かった。
危険な筈のこの男だが…
食事風景だけはあくまでも優雅で、静かだった。