storyB

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「あっついわねぇ!」
エアコンが効いたカプセルコーポレーションから一歩出れば、そこはもう真夏の太陽がほとんど真上からギラギラと照り付ける、8月の空の下だ。

広い庭には向日葵や日々草のような夏の花が、競う様に咲き乱れている。

「あら、ブルマさんお出かけ?」
「うん、ちょっとね…」
この暑い中、外で庭の手入れをしてをしている母親がブルマに声を掛ける。
盛りをすぎた日々草の花を取っているのだ。
30度はとうに超えてるのに、涼しい顔で作業するママは、さすがに『ブルマの母親』だ。
いつものジェットフライヤーやエアカーを使わずに向かった先は、最寄りのバス停。
時間をしっかり計って自宅を出たためか、ほとんど待たずに乗ることが出来る。

いわゆるランチタイム前のこの時間、客もまばらで、ブルマは楽に座ることが出来た。
よく冷房の効いたバスに揺られること約一時間ほどで、目的地に着くのだ。

『やっぱり夏は髪の毛短い方がいいわねぇ』

つい三か月前、10年以上の腐れ縁ともいえる彼、ヤムチャと別れてから昔と同じショートカットに戻したのだ。
それと共に、服装もどちらかと言うと、少しシックなデザインのものにした。

今は、淡いベージュの、麻のワンピースを着ている。
首もとには、若草を思わせる、さわやかな黄緑色の、薄手のスカーフを巻いていた。
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