storyB
□帰還
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まさかオレが生き返り、こうして帰ることができるとはな。
自分では悪人だと思っていたが、極悪ではないらしい。
フン…こんなオレにも「守るべきもの」があるからな。
そこを判断されたのだろう。
もちろん、昔のオレ…フリーザに支配されていた頃なら、生き返ることなど、無いだろうな。
瞬間移動でナンとか…というヤツに送られ、オレ達は、神の宮殿に戻って来た。
カカロットのヤロウ…ブゥをそのまま連れてきやがった…
記憶を消す、などと言ってやがったが、オレは知らんぞ!
この角を曲がれば、皆に我々の姿が見えるだろう。
「おい、悟空とベジータだ!」
「本当だ!パパ達だ!やった!」
「おおい!悟空さ!」「おとうさあん!」
フン…喜びの再会とやらだな。
だが、その喜びも一瞬にして消え去るだろう。
「ベジータ!おかえり…!」
「ああ…ブルマ、トランクス」
「パパ!やったね!ブゥをやっつけたんだね!すんごいカッコいいよ!僕も戦ったけど、ぜーんぜんかなわなかったんだよ。」
「そうか…では、明日からは、みっちり修行してやる」
「ええ〜もう明日から〜?あ、悟天!」
ケッ
行ってしまったか。
まあいい。
おい、オレの腕にしがみつくなブルマ!
「ねぇ!なななんでブゥがここにいるのよ!」
「大丈夫だ…もう悪いことはしない…サタンとかいうヤツが…」
だ、だから、そんなにくっつくな!
「それに、今度こそ、あいつを倒す…」
「うう…まだ戦うとかいうのね」
泣いているのか、ブルマ。
「ブゥがコワいのか?」
「あなたのこの手…一度はこの世から消えた」
「……」
ブルマはオレの手を握り、全ての触感を確かめる様に、両手で包み込んだ。
妻の手はこれほどの柔らかかく、温かだっただろうか。
「ベジータ…本当に生きてるのよね?頭にワッカは…無いわよね?」
「ああ、オレは生きている。」
それまで俯いていたブルマは、顔を上げて、オレの目を覗き込んだ。
潤んだその目、視線が思わずぶつかりあったその瞬間
ドキリ
懐かしい痛みが胸に走った。
そうだ。オレが守るべき人間がここにはいる。