short story

□腕枕
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わたしね、夫の身体でどこが一番好きだと思う?
答えは……腕。

背もあんまり高くないし、たいしてカッコいいわけじゃないけど、腕の筋肉は、普通にしいても太くって、締まっていて…

でね、寝る前、ほんのたまにだけど、腕枕をしてもらうの。

筋肉質の腕に頭を乗っけてね、ぴたって、夫の身体にくっつくのよ。
暖かくて、微かな石鹸の香りがして。

別になんにもするわけじゃないけど、そのまま密着するの…

すると、その右手がわたしの頭髪を優しく撫でてくれて…

もうね、いやなことなんて、全部吹っ飛んじゃう。
しばらくすると、スゥ…スゥ…って、安らかな寝息が聞こえて来るのはお約束。

ゆっくりと腕枕を抜け出して、自分の枕へと戻るの。

私も気付けば夢の中。
本当に些細なことだけど、幸せって、こういうことなのよね。

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