裏
□私はある男に恋をした
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「ベジータ…こんな時間に何の用なの?」
深夜ということで、私はいつもよりイライラとし、つっけんどんな態度で対応した。
くるりと背を向けると、デスクの引き出しからタバコとライターを取り出す。
一本咥え、火を点けると、深々とそれを吸い込んだ。
ふぅ…………
わざとゆっくりと、紫煙を吐き出す。
「あんたには関係無いことよ」
「ブルマ……」
「なあに………?」
私はもう一度吸い込んだ紫煙を吐き出すと、わざとぶっきらぼうに答えた。
そしてゆっくりと灰皿でタバコの火を揉み消した。
コツ…コツ…という足音で、ベジータがゆっくりと背後に近付いてくるのが分かった。
突然だった。
ガシっと肩を両手で掴まれたと思うと、クルリと向きを代えられた。
「キャ…」
一瞬の出来事だった。
悲鳴を上げる間も無く、力強い腕で腰を絡めとられ、空いた手で後頭部を押さえられる。
そのまま強引に唇を割られたのだ。
「ん!ん!んん…!」
余りに突然の出来事に、抵抗することすらできず、そのままされるがままになっていた。
思いもしなかったベジータの余りに突然なキス。
戦うことしか頭にないと男だと思ってたから、警戒してなかった自分も悪い。
キスはヤムチャとしかしたことがない。
でも、なんなの?これ?
ベジータがどうして私にキスしてるの?
この男もキスを知ってるの?
チラリと男の目を見れば、それはそっと閉じられとおり、今まで見たこともなかった睫毛や、切れ長な目を覆っている二重の瞼がぼんやり見えた。
舌はお互いの口中を行き来し、あふれる甘い唾液がお互いの柔らかな唇を濡らす。
『あまい…』
いつしか敵であるはずの宇宙人とのキスに夢中になっていた。
余りに甘美なそれは、冷静な思考を停止させ、同時に衣服を通じ、熱い男の体温を敏感に感じ始めていた。