裏
□私はある男に恋をした
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その日。
私は上手くいかないシュミレーション結果にイライラしていた。
両親や一緒に住んでる動物達はとっくに寝静まっている時間。
計算通りに設計した新しい推進装置がうまく作動しないのだ。
設計図を何度見直しても間違いは見つからない。
作業室のデスクに広げた設計図を何度も見直しながら、シュミレーターにつないだマシンの配線や小さな部品、すべてをチェックしていた。
「ここね…」
良く見れば、短い黄色い銅線の固さが違っている。
「私としたことが…」
様々な銅線が置いてある倉庫に行くと、本来の銅線をニッパーでパチンと切り取り、作業室に戻った。
正しい配線をし、パソコンに新しい数値を打ち込むと、ポンとエンターキーを押す。
その途端、推進装置は軽い音をたてて起動した。
パソコンの画面には流れるように様々な数字や記号が次々と表示される。
「O.K.…O.K.……O.K.今のところ、完ぺきね」
「何が完ぺきだ?」
「ひぃ!?」
突然後ろから聞こえた声に、慌てて後ろを向くと、ベジータが立っていた。