君唄

▼書込み 

02/17(Thu) 03:54
日本一才能の無い漫画家志望者の戯れ言
氏ムシメ


【灯火】



・・・

夜に煌々と輝く街の灯りが眩しい。

その喧騒から離れても尚、ノンフィクションなこの世界から逃れることは出来ないのか。

・・・

僕にはフィクションを生み出す才能がなかった。

真っ白なキャンバス・・・

そこへ一筋のペンを走らせ、未だかつて誰も見たことがない世界が広がってゆく・・・

筈だった。

筈だったんだ!

筈だったのに・・・

そこには何もない。

見上げればただ黒く塗り潰された空だけが広がっている。

・・・

何度ペンを走らせただろう・・・

何度世界を創造しただろう・・・

何度・・・

否定されたフィクションを塗り替えてきただろうか。

何も生み出すことが出来ない僕の右手は、いつしか真っ白だったキャンバスを黒く塗り潰していた。

・・・

夢から醒めた現実を眺めて・・・

希望が潰えた絶望を抱えて・・・

そんな漆黒の闇の中をノンフィクションの灯りだけが煌々と輝いている。

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