Book3

□プロローグ
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2コ下のかわいい弟、越前リョーマに負けた。あたしの人生最大の転機は小6の夏にやってきたんだったな…




アメリカのジュニア大会では、女子の中では向かうところ敵なし状態だったあたし。
パパはもちろん強いけど、同い年かそれ以下の子には男女問わず負ける気がしなかった自信満々のあたしは、小6のとき小4のチビリョーマに初めて負けたの。

その時思ったのは、女子と男子って違うのかも…ってこと。


リョーマはもちろん練習熱心だったけど、あたしだって負けてなかった。2年もはやくテニスを始めて、伸長だってあたしのが高かったのに。同じ練習をしてても、全身につく筋肉が全然違っていて。あたしがリョーマに勝てるのは、テクニックだけになってた。




こんなんじゃ絶対パパは倒せない。だからあたしは、リョーマにテニスを任せてピアノに打ち込みはじめたんだっけ。

もともと3歳からピアノは習ってて、テニスと同じくらい好きだった。ピアノだけでもきれいだし、歌を一緒に歌ってもきれい。発表会で着れるお姫様みたいなドレスが嬉しかったし、舞台は緊張するけど知ってる人も知らない人もみんなが聴いててくれるのが嬉しい。上手に弾けたら、舞台まで仏頂面で花束を持ってきてくれる蝶ネクタイをしたリョーマも大好きだったから。



あたしは大好きなピアノの先生が日本に行っちゃうのに合わせて、中1から青学に通う事になった。リョーマや両親と離れるのは寂しかったけど、親戚のお家のおじさんとおばさんは優しかったし、家に防音室とグランドピアノがあるって言われて速攻で日本行きを決めた。

2年経てばリョーマたちも日本に来るって言ってたしね。

日本に来てからのあたしはすこぶる順調で。大好きなピアノの先生の所に週3くらい通って、コンテストにでたり、ライブハウスみたいなとこで演奏したり。あたしはピアノに関して雑食だったから、クラシックも弾いたしポップスも歌うしジャズも弾いた。作曲もしてて、中2のとき実はあるドラマの挿入歌を担当したこともある。

リョーマがテニスですごい成績を残すほど、あたしはピアノを弾いた。
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