琥珀環〜こはくのわ〜

□七夕に願いを
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蠱惑の森は いつも賑やか。

「それーーー^^」

勢い良く モップ掛けを しているのは 邸のムードメーカー・コハクだ。
タッタッタッタッ…と、ゴキゲンに 廊下を お掃除していると・・・

「コハク! それでは まったく 意味がありませんよ!」
「え∵?」

腰に手を当てて この邸の最高責任者(笑)ルードがビシっと お説教。

「見なさい。モップ掛けしたあとに 貴方の足跡が残っています」
「おお?! ホントだー。ゴメーン><」

慌てて 拭き拭き。うしろ向きに、丁寧に。

「ゴミを集める時は、…まあ良しとしますが。ワックス掛けの時は 気を付けてください」
「はーい。了解しまーす!」

敬礼のポーズで 明るく承知。
おどけていても、仕事はキッチリ こなすのだ。

「ねえねえ。今度のテーブルクロス、水色のレースと 黄色の花模様、どっちが いいかな?」

この邸で紅一点・一輪の可憐な花の梓が 両手いっぱいの テーブルクロスを抱え、意見を求めに来た。

「梓さんの 好きな方で いいですよ」
「どっちも いいなって…、考えていたら どっちにも 決められなくなって…」
「貴女という人は…」

考えが行き詰まり、優柔不断に なってしまった梓に フウ…と、ため息を吐いた。

「はいはーい! 両方 引けば いいと 思いまーす!」
「ダメだよ。ゴワゴワに なっちゃう」

ひとつのテーブルに ふたつのテーブルクロス。
ただでさえ 大きなテーブルが すっぽり被さる サイズなのだから、使い難さMAXに なる事は 間違いない。

「夏ですし…水色の方が涼しげで 良いと思います」

向日葵なら まだしも、花模様は 菜の花。
季節感を考慮して 水色を選択した。

「じゃあ そうする。今までのは 洗濯してくるね」
「梓 お嬢様。洗濯なら このコハクに お任せあれ〜」

クロスを抱え 去ろうとした梓の前に、会釈のポーズで コハクが立ち塞がる。

「え、…だって コハク、モップ掛け していたでしょう?」
「モップ掛け、もう終わったから」

貸して貸して と、テーブルクロスに 手を伸ばす。

「では ふたりで 洗濯をすればいいでしょう」
よいしょっと、洗濯物の入った篭を コハクに持たす。

「雨が続いていたので 洗濯物が 溜まっています」
「あ…あはは〜。洗い甲斐ありそう…」
「コハク、頑張ろう!」

(ふふふ。これは これは^^)

洗濯物を抱え パタパタと走り去る 梓とコハクを 見ながら ダリウスは 微笑を浮かべた。
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