With love from Oborozukiyo

□Firstkiss
1ページ/1ページ

私は走った。
段々と海の音が聞こえて来た。

寄せては返しまた寄せて返す。

大きな刀を肩にかけながら海を見据えている。

『ハァ、ハァ。いた』
ロ「何かお探しか?」

トラファルガーは目だけを私の方にやる。


ザー ザーッ


聞こえるのは海の音のみ。



ロ「何だ、着いて来る気にでもなったか?」

トラファルガーは今だ海を眺めていた。夕陽が海に反射して辺り一面が夕陽色に染まる。

『あなた医者なんでしょ?』
ロ「俺は海賊だ」
『でも医者なんでしょ?』
ロ「ああ、その辺の医者より頼りに出来ると思うが?」

『本当よね?』
ロ「疑うのか」
『当然でしょ!』
ロ「人を殺すにはまず生かす方法も知っておくと便利だ」

この男と喋っているのが怖くなった。でもここで引くわけにはいかなかった。

トラファルガーに駆け寄り、服を掴んだ。

『お願い!アドおじさんの薬と治療をして!!この島の医療ではどうにもならないの!』

服を掴んだ手に力がこもる。
ローは私を見下ろしながらニヤリと嗤った。

その笑みが怖かったけど私はその服を掴んだ手の力を緩めはしなかった。

『お金ならいくらでも払う!』
ロ「金は要らねぇ」

お金は要らない?そんなことを言う海賊がこの世にいるだろうか。
そんな訳はない。

『…何が欲しいの』

トラファルガーはその言葉を聞くと怪しく嗤いレイラの手首を掴んだ。

すごく大きな手で冷たかった。
ゾクリとした。

ロ「お前が欲しい。俺の船に乗れ」

既に答えは出ていた。

アドおじさんが助かるなら

『アドおじさんを絶対助けてくれるなら』
ロ「商談成立だな」
『絶対よ!じゃないとついて行かない』

次の瞬間トラファルガーの顔が間近にあった。
レイラは反射的に後ろへ下がろうとしたが腕をがっしりと掴まれていて全く動けなかった。

ロ「お前も逃げるなよ」

耳元で囁かれた。

ゾクリとした。

『逃げないわよ、離して!!』

振りほどけない。

トラファルガーはパッと手を離した。

ククッと嗤っている。
ロ「前払いはもらう」
『はぁ!?お金は要らないって言ったじゃない!』
ロ「誰が金と言った?」
『じゃあ、何な、ンッ…』
顎をDEATHの手に捉えられ抵抗が出来なかった。

唇を吸うだけでは収まらずトラファルガーの舌が口の中に侵入をして来た。私の舌を絡め取るように口中を行き来する。
逃げ場がなく何処へ行ってもトラファルガーの舌に絡められてしまう。水分の多く含んだ音がした。

ファーストキスをこんな形で奪われるとは思ってもいなかった。


もう息が出来ない!!

最後の抵抗でトラファルガーの胸を叩く。

『ンッ…苦、しぃ』

限界の直前で解放された。

『ハァ、ハァ。あんた殺す気?』

ロ「前払いはもらった。明日までに患者のカルテを用意しろ。明日の朝JULIUS(ユリウス)で」


トラファルガーはそれだけ言うと海賊船のある方へ歩いて行った。


大っ嫌い!!あんな男なんて!
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ