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□メイド服
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「....うえっ」

僕は鏡を見て吐き気を感じた
なぜならそこに映る自分の姿が


ーーーメイド服を着ているから

「なんで僕がメイド服なんて着なきゃいけないのさ!ていうかなんでこんなもんがアジトにあるの!?!?これ需要ある!?」

「いやあ、カノに似合いそうだなって事で俺がこの間ネットで買ったッス!!もう着がえ終わったッスか??」

独り言のつもりだったのに、鍵をかけたドアのすぐ向こうから突然セトの声が聞こえた


「え、ちょまってよ!まずなんでドアの前にいるの!!」
「カノを早く見るためッス」

即答されました。
そもそもなぜ僕がメイド服なんて着ているのかというと話はつい10分ほど前に遡るーーー




「カーノッ」

キドとマリーが買い物に出かけていて誰もいないリビングで雑誌を読んでた僕が突然呼ばれて顔を上げるとそこには偶然バイトが休みのセトがいました
「んー、なにー?」
すぐに雑誌に目を戻しつつ答えるとセトが言ったんだ。とても爽やかな笑顔で。
「メイド服を着て欲しいッス!!!」
「うん、いいよー........って、え!?メイド服!?はあ!?!?」
あまりにもさらっと言うもんだから僕もつい適当に返事を.....ね。
驚いてまた顔を上げるとそこにはメイド服が入っているのであろう袋を嬉しそうに抱えるセト。
「じゃあこの袋に入ってるから着替えてきてッス!!」
「いやいやいやいや!」
「え、今「うん、いいよー」って言ったじゃないスか」
きょとんとするセトに
「セトがあまりにもさらっと言うもんだから僕も適当に流そうとしたんだよ....」
言ってみた。
すると
「....え?」
セトが悲しそうな顔をして
「俺の話適当に流そうとしてたんスか....?」
なんて聞いてきた。

ーーあ、まずい
「い、いや、冗談だよ!僕がそんな事するわけ無いじゃなーい」
そう答えるとセトはあっさり信じたようで

「そ、そうッスよね!カノはそんなことするはずないッスよね!!はい、これ!!」
メイド服が入っているのであろう袋を渡してきた




ーーー結局その後うまく断れずに今に至る。
実際1回いいよって言っちゃったわけだしね........


「カノー?まだッスか?」

....はぁ、そろそろ諦めるか

「........今行くー....」



ガチャ....

うつむきながらドアを開けるがリアクションがない。
不安になってセトの顔を見ようと顔をあげた....その時。

「うわぁあああ!カノ可愛いッス!!!背もちっちゃいしすっごく似合ってるッスよそれ!!」


ーー酷く興奮気味のセトに抱きしめられました。

「可愛いとか嬉しくないから....!ていうか背の事は言わないでよ!!気にしてるんだから!」

僕がこう言うと

「はは、背の事はごめんッス!でも可愛いのも事実
ッスよ....!このまま襲いたいッス!!!」

「はぁ!?」


驚いてセトの顔を見ると幸せそうにニヤけながら僕を見て


「てか襲っていいッスよね!?いいッスよね!?!?」

なんて。
良いわけないでしょ!?そう言おうとした時には口がセトの口で塞がれていて。

「んっ....!?」

トントン、とセトの胸を軽く叩いてみるけど効果なし
もうこれは逃げられないな....覚悟したそのとき


ピ-ンポ-ン

「お〜い、誰かー?」

玄関からシンタロー君の声。


それに気づいて慌てて離れるセト。
そんなセトを見て助かった....なんて思ってると耳元で

「続きは夜しようッス」

なんて囁かれちゃってね。
やだなぁ、そんなこと言われたら嫌でも想像しちゃうじゃんバカセト。


バタン....

セトが部屋を出てすぐに玄関から

「シンタローさん、お久しぶりッス!!」
「おぉ、セトか、久しぶりだな」
なんてセトとシンタロー君の会話が聞こえてきた。


さてと、僕もさっさと普段の服に着替えて二人のところに行こうかな。

....まぁまた夜着せられるんだろうけどね、メイド服。






ーーendーー

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