C’est vrai?
□ほんとうの話
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「っはぁっ、はあ、はあっ……」
どれくらい走ったのだろう。
学校内をぐるぐる走って、最終的に私がたどり着いたのは裏庭だった。
ここは虫がたくさんいて好きじゃないのだけれど、奥まで行くとあまり虫のいないコンクリートの空間がある。
そこが私はすごく好きな場所だった。
1人でやりきれない時などはいつもそこに行った。
「うっうっ、うぐっ、ひっくぅ…………」
自分の泣き声が響いて辛くなる。
遊ばれてたんだ。私は、私はこんなにも本気だったのに。
彼はいつだって優しくって、私にも嬉しそうに色んなことを話してくれて。
でもそういうことを思い出すたびに今は、あのキスが脳裏に浮かぶ。
ユースタス君はあんまりトラファルガー君と違ってあんまり女遊びしないって聞いてたんだけど…それって、彼女に、本気ってこと、だよね。
また涙がこぼれる。
「うっうう、ユースタスくん、ユースタス、くん……」
私は気づかなかった。泣くことに夢中だったから。
後ろに、息を切らした、彼がいたなんて。
「……呼んだか」
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