底なしハニープール
□honey pool:1m
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(今日も平和だなぁ…)
そう心の中で呟いたのは麻生ひな。
成績順にクラス分けがなされている宗珱学園において、トップクラスである2-A初の女子生徒という快挙を成し遂げた。
現在は登校中。
学園に着くまであと少しというところまで来ている。
ひなが通うここ宗珱学園では何かにつけては予想外のことが起こる。
転勤続きで転校することに慣れていたひなでも、宗珱学園の学校制度は今まで経験したことのないものだった。
そして、ひなは2-A通称「特A」に在籍し、様々な行事、事件に巻き込まれていた。
「あ、姫!おはよう!」
「姫――!おはよー!」
「拓依くん、ナオくんおはよう!」
ひなに挨拶したのは、特Aクラス在籍で、周囲から「メンズ5」と呼ばれているメンバーのうちの2人で、ツンツンとした髪の毛が特徴の岩淵拓依と小さく可愛い雰囲気を持つ有沢ナオである。
「姫、おはよ」
自分の席に着くと隣の席の清水トシが教室に入ってきた。
彼はメンズ5のリーダー的存在で、何でもこなす。
故に、他のクラスの女子が毎日彼のもとへ大勢やってくる。
「あ、おはよう」
「泰楽と小次郎は?」
「2人なら今ナオくんと拓依くんが迎えに行ったみたい」
「おはよう、姫」
「おはよう」
「泰楽くんに小次郎くんもおはよう」
この2人は残るメンズ5のメンバーで、片方の目を髪で隠している泰楽ジュンと、長い髪を後ろで一つに束ねた矢内小次郎である。
「ナオくんと拓依くんが迎えに来なかった?」
「ああ、それならさっき廊下で会ったよ。二人でまた教室出て行ったんだよね」
「いつものことだ」
「あの二人は相変わらずだね」
ひなは苦笑した。