□桜の木の下で
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桜の花びらが風と一緒に制服を撫でていく。

私の、名前は篠宮 陽翠。

今日から光中学に通うピッチピチの中学一年生である!

皆よりも一足早く学校に来た私は、校舎の周りを散歩していた。

そこで学校裏にある大きな桜の木を見つけた。

桜に向かって私は走った。

私は桜が好きだ。

綺麗な淡いピンク色、自然と笑みがこぼれてしまいますね〜。

「・・・う〜ん、歌いたくなってきたな。」

私は歌も好きだ、歌手の夢も持っているんですよ。これでも。

へタピですけどね。

無意識に歌ってるので、いつも母さんに怒られます。

・・・・歌ってもいいよね?

「♪゜・*:.。. .。.:*・♪」


歌が頭からどんどん流れてくる。

あぁ、歌ってなんでこんなにも気持ちがいいんだろう。

そんな事を思っていると、いつの間にか車の走る音やクラクションなどの雑音は聞こえなくなっていた。



その時、

ジャッ、ジャッ

足音が聞こえてきて。・・・近くで止まった。

誰だろうと思い、歌う事をやめ、音のした方を振り向いてみると、


ある男子がひとり、私を見ていた。


<<この時が、私があなたと出会った瞬間だった。

この時から、もう私は、あなたに恋をしていたかもしれない。>>


黙っていると思ったら、急に、

「ねぇ。」

って話しかけてきて、なんだ?と思ったら、

「あんた、桜好き?」

とか、言ってきて、びっくりした。

「うん、大好き!」

ってにっこり笑ってみせたら、

「…俺も好き。」

って笑顔で返してくれた。

すごく・・・かっこいいと思った。

その笑顔みた時、今にも頭がパンクしそうで、

もう大変大変。死んじゃいますって。

彼も自然と笑顔が出ていたことに気づき、バッと片手で顔を隠し、下を向いた。

今の私の顔きっと超ブサイクだろうなぁ。鬼みたいに真っ赤だと思うよ・・・

あんな笑顔初めて見た・・・・かっこよかったなぁ。

気がつくと私もその真っ赤な顔を隠すように下を向いていた。

その時間は、とても短くでも長く感じられ、ドキドキして、少し胸が苦しかった。




この気持ちは、何?





なんだろうなんだろう。と考えていると、

「名前は?」

ちょっとまって・・・。

「えっ、あの、、、」

名前なんて行ってくると思わなかった私は、またもや嬉しさで顔が火照ってしまった。

「俺に言いたくない?」

「ううん違う!そんなことは…私の名前は・・・篠宮 陽翠です。」

はぁ・・・言えた。

「・・・へぇ、陽翠 ね。いい名前じゃん。」

えっ名前が良いって、初めて言われた。。。

「ありがとう。。。あなたの名前は?」

「…藍川、優心。」

かっこいい名前。彼なら何の名前でも似合いそうだけど。

「いい名前、ですね。その・・・かっこいいです!」

「あっ…ぁりがとう…。」

ぎこちないところにまた可愛さがあった。

喜んでくれたのかな?よかった…。

そういったところで、教室集合時間が迫ってきた。

ずっと桜見てたから、、

そろそろ、校舎入んないとな。

「もうすぐ、集合時間だから校舎に入るか?」

「そうだな。クラスどこかみたのか?」

「うん。私は8組!」

「俺も、、、8組なんだよね。」

え、

「えぇぇぇぇぇぇ!!」

「そんなに驚くことないんじゃないの?(どんだけおれのこと嫌いなんだよ…)」

だって嬉しいんだもん。

「まぁいいや。一年間よろしくね、陽翠さん。」

「よろしくお願いします!優心くん。」

「じゃあ、一緒に行くか。」

「…はい。」

教室に着くまで他に好きなものは何か聞きあっていた。

共通する好きなものはいっぱい見つけた。

けどその中で一番うれしかったのは、

彼が夕日坂を好きだったって事。

こんなに好きなものが共通する人にはあったことがないから少しびっくりしてるよ。。。


(その後、二人は教室に入ったのですが、教室にいた人達にとって二人は、簡単にいえば美男美女ってわけで・・・そりゃあね、騒がれてましたよ(笑))

私の親友未唯も同じクラスだった。

未唯も相当の美女なので、最初は騒がれたそうだ。

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入学式が終わって、教室に戻ってきた私たちは8組を担当する先生を待っている時間でさっきのことを愚痴っていた。

「つらいよ・・・よりによってキーキーした
声あたし嫌いなのに。」

「アハハ、大変だよね。私も意外と苦手なんだ。」

話をしていると、あっ、と何かを思い出したかのように未唯は話を続けた。

「そういえば、なんで二人一緒に教室入ってきたの?」

「裏の桜の木の下で歌ってたらね、会ったの、優心君に。」

「名前も教えてもらったの?」

「ううん。あっちから聞かれたよ。」

「すごいよ。それ、あなたに相当興味あるってことだよ。」

「どういうこと?」

「あの人、女子にあまり話しかけないんだって、係りとかそういう用がある以外は。」

ふ〜んとか言いながらも本当は少し嬉しかった。顔に出ないうちに次の話を切り出した。

「先生もうすぐ来ると思うから、私たちも席座ろっ。」

「あぁ。そうだね。」

う〜ん私の席はどこだろう。。。

あっあったベランダ側の一番端だ。やった!

しかも、優心君の席の斜めまえだなんて・・・!

いいことばっかりだなぁ・・・神様ありがとう!

ありがたさを感じながら私は席に座った。

席順は誕生日順らしい。じゃあ優心は何月生まれだろう・・・?

未唯も席は私の前で、いっぱい話せるね、と笑いあった。

ほんと、楽しみだな。。。

向こうの席では担任の先生の話になっていた。

皆、色々な先生のイメージがあって。。。

「ガリガリの先生が来たりして。」

「じゃあ逆で太ってるとか。」

「あーそれはないわーWWW」

「女の先生かな。」

「めっちゃ怖かったりして、やだなーそしたら。」

「ハゲとか?」

「アハハ!それも無理ーーー笑」

ガラッ


「ほいっ!皆席座れよー!!」




「「「(・・・・めっちゃごつい先生きやがったーーー)」」」

一部始終見ていた私は同じ顔をしている皆が面白くて、笑ってしまった。

面白いクラスになりそうだな。と心からそう感じた。

先生の自己紹介、生徒達の自己紹介も終わって、今日は早く帰って、明日に備えるように!と、帰りの挨拶を終え、初日が終了した。

さてっと、帰りましょうかね。

「未唯、帰ろー。」

「もうちょっと待ってー。」

待ってる間に優心君にも言ってかえろ。少しだけ緊張するけど。

「・・・優心君!」

帰る皆を見ていた彼はこっちを振り向いた。

「…(せ〜のっ)バイバイ。また明日。」

「ん。じゃね。あっそだ、俺授業の時寝るかも知れないから明日っからやばい時起こしてくんない?ほら席近いし。」

「隣の人の方が近いじゃん。」

「…やだ、陽翠がいい。」

きゅん…

あ、またこれだ…

「・・・うんわかった。もともと寝ちゃいけないけどね笑」

「アハハ、いいじゃん。減るもんじゃないし。頼りにしてますよ。陽翠サン(ニコッ」

胸の奥が痛くなる…

これはいったいなんなの…?

「はいはい!」


『ごめん陽翠!帰ろ〜』

「は〜い!それじゃあね。」

「うん。」

そう言って、私は、未唯と教室を出る。

・・・普通に喋れた〜!

「なになに?なんか嬉しそうじゃん藍川と話して。」

「うん。ちょっとね〜。」

「すごいにこにこしてるよ、相当嬉しかったんだね。」

やっぱり、わかっちゃうか〜

「好きなの?彼のこと。」

「う〜ん、分からないんだよね〜それが。」

「そっかー。」

未唯と別れたあと、家までの一本道、夕日坂をふとみると、、、鮮やかなオレンジ色が輝いていた。入学式が午後からだったので、ここに来る時間がちょうどよかった。

いつ見ても飽きないなぁ。。。

感動している半面、明日が楽しみなことにどきどきした気持ちに包まれていた。

明日から本格的な中学校生活がはじまる。

よし!明日も張り切っていこう!

そう思ったあと、私はこの夕日坂を思いっきり走り登ってみせた。
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