しょーとstory

□思い出
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ガヤガヤと騒ぐクラスの人達。

ヒュッと吹く少しの風が心地いい。

私は芹野 海桜。

今日もいつもの一日がはじまる。



授業中、窓側の一番後ろの席にいる私はほおずえを付きながら外を見ている。

体育の時間で外に出ているクラスはサッカーをしていた。

一生懸命にボールを追いかけているその姿はとても微笑ましかった。

キーンコーンカーンコーン〜♫

あぁ、また授業聞けなかった・・・

でも自分でもびっくりするのがね、いつもテストで90点取るんですよ。こう見えて。

前世で何かあったのかな・・・不思議だー

先生が来る前は絶対教室がガヤガヤする。

その中でもいっちばんうるさいのが

咲坂 春

「今日さー、部活ないからカラオケ行く?まじほんと最近ストレス溜まってるんだよねー。」

「いいよ。俺も溜まってるわー。」

「えーじゃあ私も行く!」

「私も私もー」

「きゃー私も行くー!」

・・・いや、一番うるさいのは女子らかも。

私は咲坂 春のことを心の中ではあいつ、こいつとも呼んでいる。

チャラいし、遊び好きだし、嫌い!!

・・・なのに初めて会った気がしないというか・・・







このあとは先生方の職員会議、授業も部活もな〜し!やった♫♪

帰りの掃除も楽しく思えちゃう!

さぁー帰・・・

「おい。芹野いるかー?」

あっおデビー先生だ。

「お前今日日直だろ?このダンボールを野球部にもてって欲しいんだよー。」

そうだ私、日直だったーーーー。

「このダンボールをですか?」

てか、これパシリでしょうが!!

軽いだろう、と持ってみると、、、

ズシッ

お・・・重い・・・

「あぁ、あとこのダンボールもなー。」

え、えぇーーー

「これ2箱を私が全部!?」

「できるだろー。こんな軽いの。」

いや重いわ!!

と思いつつ、私は先生を探した。



腕壊れるわ。。。と思っていると、

「あれ、芹野じゃん。」

ダンボールで前が見えない私は相手の姿が見えなかったが、声であいつだとわかった。

「なにやってんの?」

「先生のパシリ。早く帰りたいのに。」

「お前も大変だな、色々と。手伝ってやろうか?」

「いい。」

冷たく言いのけて歩き出そうとした時、上の段ボールが傾いてバンッと落ちてしまった。

中のものがバラバラ出てくる。

も〜最悪!

さっさと拾おう、と転がったものに手をつけようとしたとき、大きい手が、私の手に重なった。

ドキッ。

「仕方ないな〜。手伝ってあげるから貸して!!お前ってほんと見た目と違ってドジなんだから(笑)」

・・・ムカッ。

「余計なお世話です!!」

「おぉー可愛くないね。モテませんよ♪」

つくづくムカつく・・・コイツめ。

と思いつつ私は段ボールを持ってくれるこいつに少しキュンとしてしまった。



グラウンドに来た私たちは、先生を見つけた。

先生いつもここにいるし、ごついからすぐ分かるわ。

「おおー芹野と咲坂じゃないかーどうしたんだ?」

「デビー先生からこれを先生に持っていけと言われて・・・」

「おおーそうかそうか!!ありがとうな!!」

「先生声デカすぎ(笑)」

私も笑いそうになっちゃった。

「それはいっちゃならんぞ、よしじゃあこの荷物、倉庫においてきてくんないか?これからほら職員会議なんだよ。」

「はい、分かりました。」

「はいよ〜」

野球部の倉庫に向かっていた私たちは、ドアに立てかけてあるバットを見つけた。

「あれさ、横に開くドアだからバランス崩して倒れたら、閉じ込められちゃうな。」

「え〜それはヤダな。私早く帰りたいし(笑)」

「俺も部活行かなきゃだ(笑)」

「知らないで言ってたの?」

「だからさぁ、俺って馬鹿だなー。」

「本当にあんたって馬鹿。」

「うわ、傷つくわ〜(・ω・`)」

「アハハ、ごめんごめん(笑)」

…なんか、普通に喋っちゃってるよ。

こんなに楽しかったっけ…コイツと話すの。

一方的に嫌い、きらいって言ってきてたから自分から話そうともしないで、一言で終わらせてたんだ。

ちゃんと喋ったことなかったんだよ、私達。。。

「おい、芹野。」

「えっ!あぁ、何?」

「どうしたんだよ急に立ち止まって。」

「ううん、なんでもないよー。」

咲坂のこと考えていたなんて絶対・・・ってあれ?

こいつの事名前でよんじゃってる…

どうしたんだよ、私。

私らしくないよ、平常心だよ。

…なんで顔が熱いの?

どうして、どうして…私は、、、

「おい!芹野!」

「っは、はい!何でしょう!」

「何でしょうじゃないだろう。お前おかしいぞさっきから。本当に何もないのか?」

「大丈夫だって、大丈夫…」

「とにかく、早く終わらせてお前は帰ったほうがいいな。」

「うっうん。そうだね!」

私達はそう言ってから、倉庫の中に入っていった。

その時、気づくべきだったのかも知れない。

倉庫に立てかけてあるバットの事に。
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